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2006/09/24
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カテゴリ:おべんきょう
世の中には自分が知らないことがたくさんある。

もちろん、全てを知ることは物理的に不可能であるし、世界中の紛争や各地の事件など知ってしまったことにより胸を痛めることも多い。

それでもやはり、そういった紛争や事件がなぜ起こってしまったかを考えること、どうしたら解決、予防ができるのだろうと考え、さらには実行することにも意義はあるだろう。


したがって何かを新しく知る余地が限りなく存在することは人生を非常に充実させる要素であると私は思う。

新しく知ったことに対して自分なりに疑問を抱き、理解し、考察を加えることができるということも非常に楽しい。


あっちこっちに興味がいってしまいなかなか専門性を磨けないという弱点を個人的には抱えているが(苦笑)。。。


そんなわけで好奇心を持って一生学び続けていたいと考えている私にとって「教育」というテーマも大きな関心事の1つである。

教育と一口に言っても、就学前教育、初等教育、中等教育、そして高等教育と分類され得るものでありそれぞれ奥深いと思うが、ここでは主に高等教育で見られる変化について少し述べたいと思う。



最近、CNNでこんな記事を発見した。


「Yale University to post courses on Web for free」
(イェール大学、ウェブ上で授業を無料公開)



アメリカの名門大学イェール大学がウェブ上で授業の中継ビデオを無料で流すというのだ!

2007年度の授業から、宗教学、政治学、物理学などいくつかのクラスについて、シラバス(講義摘要)やその他の資料と共に準備するらしい。

しかも複数言語の字幕もつける予定とか。


世界中の老若男女を問わない人々が一流大学の講義を見ることができる。


これは教育を受ける生徒側にとっても授ける先生(教授)側にとっても大きな革命なのではないだろうか。



実はこうした動きはちょっと前から知っていた。


留学中に受けた「Emerging Technology」の授業において、大学や大学院などの高等教育の遠隔化や広域化についてクラスメイトが発表したことは以前このブログでも紹介した。


また、『ウェブ進化論』という本を先日紹介したが、そのP.178ページに「MITのオープンコースウェア」という一節がある。

これまたアメリカの名門マサチューセッツ工科大学(MIT)が2002年9月から始めた、「科目ごとに、講義摘要、必読書、講義で使うスライド、講義メモ、課題、試験と解答」などを無償公開する大きなプロジェクトである。

「素晴らしい知的財産を無償公開すると、世界中の知的リソースがその周囲に結び付く」というオープンソースの本質から強い影響を受け、「世界中の誰もがインターネットへのアクセスさえあれば、この教材を駆使して自由に好きなだけ勉強できるという構想」であったと本書では紹介されている。

本書ではこのプロジェクトが抱える著作権の問題、大学事業への脅威、学ぶ側のモチベーション維持といったさまざまな要因からうまくいっていないことまで触れられていた。

確かに世界中の先生達、学生達が情報を無料で共有することができてしまうと、実際に教えることでお金を稼ぐ先生、学ぶことでお金を払う学生の立場は何なの?ということにもなってしまいそうだ。

著作権の問題も含め、どこかでお金がうまく循環するモデルを構築しないと行き詰まってしまうのかもしれない。



いずれにせよ、教える側も学ぶ側も世界の大競争に巻き込まれる日は遠くないだろう。


「○○国の□□大学の△△教授の授業は××の分野では世界一素晴らしい」


基準が常に問題にはなるだろうが、こんな格付けが世界中の学生達によって行われるかもしれない。

そうなったら教授達も戦々恐々だろう。

生徒の方もこれまでのようなクラス単位、学校単位ではなくこれまで考えもつかなかったような国際的な競争を経験する予感がする。


つまり、私がエチオピアのアディスアベバ大学の図書館で見た勤勉な学生達も我々と共に同じ土俵で切磋琢磨する時代がやってくるのではないだろうか。

トーマス・フリードマンも著書「フラット化する世界」において、アメリカの子供達は中国やインドといった世界中の子供達と競わねばらならない時代になっていることを論じていた。(もちろん日本も例外ではないだろう)(この本を紹介した時の日記はこちらから)



さて、イェール大学の授業ウェブ公開プロジェクトはまだこれからのことであるので、ここでは試しにすでに行われているMITの「MIT Open Course Ware (OCW)」を探索してみた。


Anthropology(人類学)、Chemistry(化学)、Economics(経済学)からUrban Studies and Planning(都市計画)まで、実に34の学部がさまざまな資料を公開している。


Biology(生物学)の学部に入ってみる。

undergraduate(学部生)のクラス、graduate(院生)のクラスともに見ることができるが、ここではさらに学部生が履修する基本の授業、「Introduction to Biology(生物学入門)Fall 2004」へ入ってみた。


すると、コース概要の説明、授業の進行予定から試験、解答など、『ウェブ進化論』で説明されていた内容のものがなんでも見れる!

さらにこのクラスでは講義のビデオも公開されていた。



第1回目の授業をちょっとのぞいてみる。


おお、教室で生徒達に講義を行う教授の姿が映った!

OHPで映されたスライドがよく見えないのがたまにキズだが、臨場感があっていい!



教授:「高校までの生物は暗記が中心だったかもしれません。しかし、大学で行われるこの授業では単なる暗記ではなく、合理的な思考法、科学的な考え方を皆さんに学んで欲しいと思います」



ふむふむ、なるほど~!!

しかし授業が本格的に始まった途端に教授の話す用語がぜんぜんわからなくなった(苦笑)。

それにしたって名門大学、MITの授業をこうして無料で札幌にいながらにして見れるっていうのは感動だ。

ブロードバンドの恩恵は計り知れないものがある。



生物学の基礎をしっかり学びたいという思いもあったし、教材の公開もけっこう充実してそうだからこの教授の授業を真剣に受けてみたいという気持ちになった。

英語の勉強にもなるし。(専門用語がわからずちょっとトフルチックだけど(笑))


でも評価もなく双方向性もない状態で1人で続けられるかな~。

そう、そういうところもこのプロジェクトの課題の1つだった。

問題点をちょっぴり実感したのだった(苦笑)。



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参考ホームページ

「Yale University to post courses on Web for free」 (CNNニュース(英語))


「Yale to Make Select Courses Available on the Internet」 (イェール大学のホームページ内のニュース(英語))


「Welcome to MIT's OpenCourseWare」 (MITのオープンコースウェアのページ(英語))






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Last updated  2006/09/24 11:19:24 PM
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