テーマ:50代の視点と日常(1298)
カテゴリ:我が家今昔物語
4月末頃、別居中の夫から
「突然だけど急に自分の親のことが知りたい。何か知ってる?」 なんてメールが届く。 コイツ、還暦もとっくに過ぎた男が 今更何言い出すんだと思った。 ウラシマソウ【花言葉】回想 夫は養子だ。 夫が養子だということを知ることになったのは、 私と結婚してから6年目だった。 常識的に考えれば出生の秘密なのだから、 育てた親から聞くのが当然な話だろう。 なのに姑は夫よりも私に先に伝えたのである。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 事は嫁姑問題から始まる・・・長い話になる 双方の親に交際を反対されて、駆落ちして、勝手に籍まで入れて 自分の経営する会社の事務員だった出来の悪い田舎娘が 最愛の一人息子の嫁になったって気に入られるワケがない。 そもそも夫の家に入ることになったのは 駆落ち先から流産しかかったお腹にいる長男を 助けたいばかりの末の成り行きなのだから。 結婚は家と家の結びつき。一人息子と一緒になった以上は 嫁ぎ先の家風に慣れ、嫁として家や夫を支えていくのは当たり前。 そんな考えの姑と、ハナからそんなことまで望みも考えもしていなかった私は 厳しい姑の下で家事、子育てを続けていくのは日々針のムシロで、 特に姑の言葉の暴力は、私を自己嫌悪の奈落に落とした。 「あんたなんかに子供を育てる資格はない」 「あんたの代わりに来る嫁はいくらでもいる」 「あんたを見ていると象脚の母親を思い出す」 ナドナド (もう30年以上前の話だから具体的には覚えていない。 コレに輪をかけた罵詈雑言を、私が失言、失敗する度に浴びせるのだ) 挙句、耐え切れなくなって離婚覚悟で群馬の実家に帰った。 「二度は許すけど三度目は無いから」 脅しの様に姑に言われたが、三度(みたび)実家に帰ることになった。 迎えに来た夫も頑なに離婚を決意した私に諦めの表情を見せた。 日を改めて今度は、姑がどうしても聞いて欲しい話があると言ってやってきた。 で、話し始めたのが夫の出生の秘密だった。 ヒマラヤユキノシタ【花言葉】秘めた感情 「この事は墓場までもって行って、 けして口外すまいと決めていたことなんだけれど・・・ 実は息子は私の産んだ子供じゃないの」 子供に恵まれなかった夫の両親は 何かの伝手(つて)を使って、ある産婆がとり上げた赤ん坊を 養子である記載が戸籍に残らないよう、 養子を養親の「実子」として扱う縁組を行ったらしく 夫の戸籍には養子という文字はどこにも無く 故に、戸籍を見る機会があった夫も これまで親子関係を疑うことなんて無かったそうだ。 母親は若い看護婦で、父親は前途ある医師 将来は結ばれる事の無い関係だった と・・・聞いた気がする。 夫の生母から生まれて数日の子供を取りあげ、 今、再びあなた(私)から二人の子供を取りあげることはできない と・・・聞いた気がする。 親族も皆知っている話で 息子にも本意ではないが話すつもり。 同居が嫌ならあなた達ふたりとはもう一緒には暮らさないから、 (その場凌ぎの嘘だった) 子供達の為に戻ってきて欲しい と・・・聞いた気がする。 (30年以上前の話。会話の詳しい内容まで覚えているワケ無い) 所詮、私には血の繋がりの無い姑。 夫と血の繋がりが有ろうと無かろうと関係ない話だ。 ただ、自分が生んだ二人の息子には他人なのだと思った。 この時ばかりは、あれだけ離婚を決意したのに 血の繋がりを自ら断ち切ってはいけない、他人に我が子を任せてはいけない ろくに子供の面倒も見ない夫を頼ってはいけない、 そう考えて子供達の元に戻り、離婚は保留にした。 しかし、話が事実であるならば 痴呆症になった上に病死した舅はともかく、 亡くなる前にきちんと息子に話をしなかった姑は、 本当に無責任で嘘つきだと思う。 私から自分が養子であることを聞いていながら 姑に本当のことを聞く事もしなかった夫にも言ったことがある。 自分の為だけではない、自分の息子二人の為に 自分の本当のルーツを知り、伝えるべきことではないのかと。 過去のことを知っている舅の親族は存命中だったし、 姑の死後だっていくらでも聞くチャンスはあった。 知っている限りのことで良いから早く教えて貰えば良いのに 事あるごとに言ったが無関心を見せていた夫。 『自分の親のことが知りたい』 と、言ったのが20年近く経った今なのである。 親戚付き合いも殆ど自分で絶ってきて、 今になって存命している舅の兄弟姉妹がいるかどうかもわからない。 それでも本当に知りたければ親戚に自ら連絡すればいい。 私の胸の内ではもう親身になってやる関係は終わっている。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● そのメールが来る3~4日前からも 別居中の夫からのメール連絡はあった。 たいがい自分のことばかりの情けない連絡が多く、 電話に出る事は極力避けるので、携帯メールになる。 それでもゾンザイな扱いになる。 今迄、無関心に扱われてきた長男からは 「かまって欲しくなったんじゃないの?」 とのご意見。 同居の次男とは必要以上の会話は無いそうだし、 子供よりも妻の方が大事だなんて口に出して言えるヤツだから 所詮、父親にはなれない男なのは分かっていた。 こんな身近な血の繋がりを大事にできなかった男が 今更過去の血の繋がりを知ってどうするというのだ。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● しかし、この数日後 またもしょうもないメールが届く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年05月21日 10時57分10秒
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