テーマ:職場での出来事(331)
カテゴリ:食べ物語
職場の同僚Oさん(70代女性)は
私が今の勤務先に転職したばかりの時、 おぼえの悪ぅ~い私に手取り足取り仕事を教えてくれた 面倒見の良いコロッとふくよかな先輩パートだ。 今年、70歳を迎え 勤務日数が週休2日から週休5日になっても 「亡くなった夫が遺言で『お前は死ぬまで働け』 って言ったから会社は辞めないわ」 なんて、冗談かホントか分からない理由で 仕事を継続している。 40分もかけて自転車をこいで来て、体力使う仕事をして帰るのだから 凄い70歳だと思う。 私がはたして同じ年齢になった時、Oさんと同じことができるかどうか ・・・自信はサラサラ無い。 さて、7月のある日 そんなOさんに出勤して顔があった途端、 Oさん「あ~、良かった♪良かった♪ちょっとちょっと」 と、大げさな手招きをして私を更衣室に呼び寄せた。 私 「なんですかぁ??出勤早々」 Oさん「ハイッ♪あげるから、食べて食べて 身体に良いって言うから買ったんだけど私には無理だったから~」 と、レトルトの 参鶏湯(サムゲタン)を1袋手渡された。 私 「え~?!これって韓国の薬膳料理でしょ、 お高いモノなんでしょ?頂けないですよ。 息子さん達に差し上げたらいいじゃないですか~」 Oさん「息子達も食べないし、いいの、いいの貰って♪」 Oさんは日頃から韓国ドラマが好きな様で、 おそらく・・・ 韓国ドラマを見ていたら参鶏湯がよく出てくるものだから 美味しそうに食べてるのを見て自分も食べてみよう なんて安直に思って通販で買ったんじゃなかろうか ・・・と思ったりした。 聞けば同じブショの日系ブラジル人のHさんも1袋渡されたという。 Oさんに一応お礼は述べたものの、Hさんも私も お互い参鶏湯なんて食べたことが無いし、 噂位には知っている参鶏湯を手にしてしまう。 果たして頂いたものの食べることができるのだろうか・・・? そもそも・・・私なんて言わずと知れた ・・・否、知る人ぞ知るか 食わず嫌いの偏食人間だ。 Oさんにだって「私、好き嫌い多いんです」 ってけっこう言ってたつもりなんだけどな 自慢じゃないけど 寿司屋に行けばイクラ・ウニ・トロ・サーモン・ヒカリもの 焼肉ハンバーグなら肉の脂身は絶対 ハム、ベーコンは薄いのなら 人参=生加熱したのはピーマン=薄切り乱切り 気に入ったものなら、飽きるまで、発売終了まで、嫌いになるまで食べるし、 食べつけないものには手は出さないくせに、珍しモン好き。。。タチが悪いと思う。 Oさんなら、社内に食べそうな知り合いがいくらでもいるだろうに 何故に私とHさんを選んだのかが分からない。 思うに、手軽に渡せるお茶請けのお菓子と違い こういう風変わりなモノを他人にあげようと思ったら 持参する前に聞いてから手渡すものではないだろうか? そうでもしないと親切な押し売りになりかねない。 おまけに最後に放った言葉が 「食べたら感想聞かせてね♪」 で、ある。 コレは食べることを確実に指示、決定付けているではないか 自分が食べたことのないモノとか、 食べられないかもしれないものとか、 嫌いなものが入っているものとか、 Oさんは、食べたくないものを自分が貰ったらどうするのだろう? そもそも参鶏湯(サムゲタン)とは どんなものかもよく分からない。 ネット情報によれば・・・ 丸ごとの若鶏に高麗人参やナツメなどの 漢方を詰め込て煮込む 薬膳料理 高麗人参の「参」と若鶏の「鶏」スープを意味する「湯」 一度も冷凍していない鶏をまるまる1羽使用し、 もち米、うるち米、高麗人参、にんにく、栗、ナツメ といった身体に良い食材を詰め込み、塩だけで調味している韓国の宮廷料理 韓国では7月~8月の暑い時期に滋養食を食べ、夏バテを防いだり、 鶏のコラーゲンや高麗人参に含まれる豊富な栄養が凝縮されているので 美容の為に好む人も多い ゲスな話・・・ちょいと調べたら同じものが通販されていた。 参鶏湯(サムゲタン) 1kg×2袋入り 賞味期限が12月までだから冬になったら開けて 鍋風にしてみようか・・・とか考えつつ それから1週間後・・・またも、Oさんが 「あぁ~良かった、ちょっと、ちょっと、ハイこれッ」 有無を言わさず手提げ袋を手渡すと 「息子の分、2袋ね」 「ま、まだあったんですか!いったいいくつ買ったんですか~?!」 先に貰った参鶏湯1袋を人がどう食べようか悩んでいる時に 追い打ちをかけるように我が家の息子らの分にと2袋追加されたのだ。 全部で3袋になってしまった (Hさんにももちろん1袋追加があった) 参鶏湯3袋で6,000円相当である。 (2023年7月17日撮影) 類似品と異なり保存料は一切使用ナシ 鍋に入れてあたためるだけで食べられます。 1袋あたり1kgたっぷりありますのでおよそ2~3人前に相当 栄養価が高く、あっさりとした味わいの中にも旨みと滋味があふれ 韓国では夏場にスタミナ食 夏のスタミナメニューとしてオススメなばかりではなく、 冬も身体を手軽に温める品として愛されています。 -バイヤーコメント- じっくり煮込んであるため、本当に骨まで食べられます!びっくりします! 味付けは食塩しか入れていないため優しいお味に仕上がっています。 素材の味が染み出した旨みの詰まったスープは絶品 (通販元HPより抜粋) 今年の夏は30度越えのすこぶる暑さが続き、 古いアパートの屋根から熱を受けた我が家の部屋は ひと気が無くなったらいったい何度になるのか 考えただけでも汗が噴き出てきそうだ。 そんな中に常温保存のレトルト品を置いといて良いものか? 厚生労働省の「常温保存可能品に関する運用上の注意」では 「常温とは、夏期において外気温を超えない 温度」とし、 ネット上には常温保存の定義5℃~35℃とも、人が一般的に生活する温度とも けっこう曖昧でもある。 で、Hさんは、ご主人と外出が多く室内の温度がかなり高くなるらしく それを気にしてか、結局食べずに処理してしまった様だ。 我が家はたいがいエアコンが消えている時間の方が少ないので心配は無かったが、 3袋3キロの参鶏湯は場所塞ぎの上、 「食べなきゃいけない」というストレスが 見る度にのしかかってくる。 (小学校の頃流行った、出さなきゃヤバいことになる「不幸の手紙」みたいだ) で、別居の次男は日頃台所に立つので 「食べてみて」と1袋渡してみた。 2週間程して次男宅に行った時 台所から薬膳らしきにおいが漂っていたので聞けば 「グロいし、くさいし、オレ無理だから捨てちゃったよ・・・」 とのことだ。 で、さすがに、人の様子ばかり伺っていてもよろしくないので 思い切って食べてみることにした。 友人やら隣近所の仲良しやら親しい間柄の人でもいれば お裾分けもできるだろうに・・・あいにく私はそういう類の便利人はもち合わせていない。 自力で処理しなければならない まずは開封して両手鍋に投入。 長時間煮込んであるらしく、鶏の皮はトロトロドロドロで 汁と一体となっている感。 コラーゲンたっぷりという感じでもある。 鶏肉に関して言えば、 食感重視な私は胸肉とささ身しか食べられない。 ブニブニ、ぐにょぐにょ、ゴリゴリとか柔らかい中に異物感があるのが無理で 皮、脂身、軟骨、内臓の類はどう~しても口にできない。 鍋の中を見る限り混在している・・・ナ 薬膳のにおいが少しでも気にならなくなるように 白菜、ゴボウ、ネギを入れて塩と醤油を足してみる。 おそるおそる味見してみたが 参鶏湯独特のにおいはさほど強くは感じない。 只、鶏の煮た肉を日頃食べない私には・・・野菜は美味い。 ほぐれるように崩れた肉の中から出てきたのは 高麗人参と栗とナツメと米。 「ほぉ♪栗」つい好物なので食べてみたが 栗の味は全く無く不味い。 昔、祖母が言ってたなぁ 「煮込んだモンの栄養は皆汁の中に出ちまうから 汁を飲むだけで良いんだよ」 ってね。 参鶏湯も鶏肉をココまで煮込んだら 中に入ってる具材の栄養は皆汁の中 ってことに祖母の話だとなるんだけどなぁ。 お碗に鶏肉の正身と野菜で1杯程食べてみた。 食べられなくはないが、好んで食べたい物でもない。 ごめんなさい・・・である。 「良かったら味見だけでもしてみて~」 出勤前に長男に声掛けして出かけたが、翌朝帰宅したら 鍋に変化は見られなかった。 食べなかった様だ・・・長男、鍋に入った鶏肉食べない人だった。 なんだか凄い罪悪感 こんなことなら一人だけでいいから 食べ物の好き嫌いのない友達か同僚かご近所さんをつくっておけば良かった・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年09月24日 13時00分47秒
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