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カテゴリ:自慢ですか?
手招きをするオヤジの顔を見ながら店内に入ると、「らっしゃい!!」と馬鹿でかい掛け声が聞こえる。 その声に驚いて、子供の様に一瞬ひるむショーン君。
カーブがかった位置に、左からイーさん夫妻が座り その横に、母が座りオヤジがいた。 オヤジの横は空席が続く。 オヤジの横に、お節介が座ろうとすると 「オメーじゃないよ!」 と、つれない声。 で、真が座ろうとすると 例の ・・・ シッシ ・・・ と、手の平をヒラヒラさせている。 真が、ムッとし 席から立ち上がり… ミッちゃんの顔を見ると ミッちゃんは、脅えたように 頭を横に振る。 その時、 オヤジが空席の椅子を ポンポンと叩く。 ・・・ポンポン・・・ そのポンポンに連れられて・・・ ショーン君が、ビデオを回しながら オヤジの隣に座る。 ・・・・・・シーン・・・・・ オヤジ・・・ ショーン君が座っても 文句を言わない! 横に座らせたいのね・・・ それも、二人だけが分かる ジェスチャーで。 オヤジのジェスチャーが ショーン君に通じた事にも驚いた。 ショーン君の横にお節介が座り お節介の横に、真とミッちゃんが座るのを 確認したオヤジが、店の人に負けない位の 大声で・・・ 「遠慮せずに 何でも食え!」 と、鼻の穴を全開にして言った。 「遠慮ねぇー」 と、ふて腐れた声のお節介。 チラッとショーン君を見ると 嬉しそうに、店内をビデオで写している。 目の前に流れる…皿に乗った寿司を UPで写している。 「じゃあ、遠慮なく!」 と、嫌味たっぷりで言いながら 中トロの皿を取るお節介。 ’’’ パクッ ’’’ !? あ~ あ”~、 と、口の中を一杯にしながら 自分の指で口元を指しながら 皆にジェスチャーを送るお節介。 それを見て、 「な!?」 と、オヤジがご機嫌に目を細めて 頷いている。 モグモグ・・モグモグ・・モグモグ・・ 「お、 お、 美味しい!」 と、叫び声を上げると カウンター越しの店員さん達がニッコリ。 他のお客さんも、ニッコリ。 お節介の住む州には回転寿司など無いし、 里帰り帰国しても、回転寿司に入った事も無かった から・・・ この、進化した ネタも・・・お米も・・・美味しい! 回転寿司の、イメージが急遽… 急遽、心のリストに入り込んだ。 「おい、 海老天10本ほど カリッと上げてくれ!」 と、オヤジが注文する。 オヤジ… オヤジ… 優しいねぇ。 男って、こう言う小さな 優しさをさりげなく出すのが 上手い! オヤジが天婦羅を注文した事を ショーン君に伝えると 「お父さんの優しさが嬉しい」 と、感動して私に小声で答えてから 右手で、お節介の左手をギュッと 握るショーン君。 えへへ・・・ 私のお父さん…優しいでしょう? と、思った時 素早く、 店員さんが大きめの皿に乗った 海老天を持ってくる。 受け取るオヤジ。 ショーン君が、顔を赤らめながら 皿を見ている。 皿を置き、 箸を割る。 口を開ける ・・・・・ パクッン モグモグ・・・ モグモグ・・・ 食べてる お節介オヤジ。 ショーン君が 石のように固まり 硬直しながら お節介を見る。 上がっていた口角が ゆっくり下がり 反対に 下がっていた目が 勢いよく上がる、お節介。 はぁ!? はぁ!? ちょっと! その海老天! そのぉ、え・び・て・ん!!!!! オメェーのかぁぁぁぁ! 心を冷静にしながら・・・ 心を冷静にしながら・・・ 心を冷静にしながら・・・ 「す、 す、 すいません! こ、 こ、 こっちにも・・・ こっちにも・・・ 海老天20本ぐださい!」 と震えながら言うお節介。 ハッ! と、するオヤジが 笑いながら 「なんだ? お前も海老天好きなのか?」 と、口をモグモグさせながら とぼけた事を聞く。 冷静に・・・ 冷静に・・・ 「しょ、 しょ、 ショーン君が好きなの」 と答えるお節介。 オヤジが、ジーッと ショーン君を見て 「変わった外人だな!」 と、大声で言う。 はい? おい! お前! 外人だぁ!? お前の、義理の息子だろ! それにしても、 ショーン君が天婦羅好きな事を 覚えていた訳でなく、自分が食べたいから 天婦羅…って、言っていたんだね。 そうだよね。 なんで、良い風に解釈しちゃうんだろう。 こんな、オヤジって… 分かってるのに… 苦労しているのに… 何で分からないんだろう…私。 と、悔いている時に 海老天が来た。 事の流れが、少し分かったのか 寂しげに食べだす、ショーン君。 そんな人の心分からず、 モグモグ食べるオヤジ。 気を取り直して モグモグ食べるお節介。 チラッと ショーン君を見たその時 なんと、 なんと、 オヤジの箸が… ショーン君の 海老天てんこ盛りの 皿に伸びる。 あっ! あっ! オヤジ! それは、 人の皿に、箸を伸ばすのは それは、 駄目だよ! アメリカでは… マナー違反だよ!(日本も、でしょう?) と、思った時 ショーン君は、オヤジを見詰める。 気にせず、オヤジは 綺麗に揚がった ショーン君の海老天一本を 自分の箸で 丁度…掴んだ所だった。 ど、 どうする…このオヤジ。 <続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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