8.6を迎える
尾道に移り住んでしばらく経ったある日みつけた、中国新聞の記事は恐ろしかった。にっこり微笑む人々の写真、消えた町の名前、爆死と言う初めての言葉に釘付けになり、しばらく呼吸も苦しいほどに、嗚咽しむせてしまった。戦争ほど悲惨なものはない。頭ではわかっていたつもりでも、平和を祈ること、それを口にする事が、偽善的に思えていた頃のことでした。いい歳をして、何もわかっていなかった時だったと思います。厳しい現実を知らずに、観念だけでいきがっていた、恥ずかし私。頭を何度も張り倒されて、生きると言うことを教えてもらった気がした1日になりました。だけど、戦争は、日々生きる私達の周りで、いつでも息を潜めている。どんな理由があっても、人の命を奪う正義は、どこにもない。正義の名のもとに、人を傷つける正論も、どこにもない。今日もまたテレビの特番で、CGを駆使してリアルに映像化された、失われた町並みが復元されていました。失われたあの日への、強いメッセージを感じます。何度抗議をしても、懲りずに核実験を繰り返す国々は、まだ減っていない2005年。氾濫する情報の中で、流されだまされない、強い人間になりたいと思います。私達には、二度と繰り返してはいけない約束があるから。一瞬ですべてを失われた方々の、冥福を心から祈って。