親としての自覚
早いもので、僕は初老を迎えました。 娘が生まれたのは、自宅から片道40分程度かかる病院。妻の父の勧めだったような気がします。 妻が保育士をしていたこともあり、子どもを作ることを避けていたのですが、結婚をして2年ほどして、子どもを作る決心。それから10ヵ月後の夜、妻が破水。急にお腹を抑えて、「病院に連れてって」といわれて時には、慌てました。覚悟はしていたものの、現実に来ると戸惑いますね。彼女を、車に乗せ病院へ。もちろんそのまま妻は入院しましたが、娘が世に出たのは、それから2日後。丸1日痛みを耐えていたことを聞いて、「女性は強い」と思いました。 ベッドに寝かされているわが子を遠目で見るのが精一杯で、戸惑うばかり。 やがて妻の両親が来て、自宅に戻ったのですが、義父が首のまだ据わらない子どもを上手に抱き上げているのを見て、何となく自分の無力さを感じました。義母はしばらく僕の自宅で、妻と子どもの面倒を見てくれました。この期間は、男にとっては何もできない時期ですね。ある朝など、掃除機をかけ始めると、子どもが咳き込みだしたんです。原因は、埃。大人には感じない些細なことが、子どもに影響を及ぼすことを感じた、初めての出来事でした。それ以降は、子どもを外で日光浴をさせる間に掃除機をかけるのでした。 子どもを気遣いながら、僕の生活を考えなければならないこととなるのです。親としての自覚の始まりでしょうか。