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カテゴリ:あ行の作家
すごーく久しぶりの有栖川さん作品です。 数年前、綾辻行人・有栖川有栖・我孫子武丸作品ばかりを集中して読み漁るという、 名付けて『トリプルAブーム』(笑)だった時期がありまして。 でも、この『幽霊刑事』はいつも貸し出し中で、なかなか借りられなくて。 そうこうしているうちに『トリプルAブーム』は過ぎ去ってしまい・・・。 というような記憶があったんですね。で、先日図書館でたまたまこの作品が 目に付いたので借りてきてみました。 巴東署の刑事・神崎達也はふと気付くと浜辺に立っていた。 なぜか体が半透明になっており、何かに触れることもできない。 記憶の糸を手繰るうちに、自分が殺されたということを思い出す。 神崎は、ある日上司の経堂課長から浜辺に呼び出され、拳銃を向けられた。 「私の意思じゃないんだ」「すまん・・・」そういって経堂は引き金を引いた。 『幽霊』になった神埼は、母や妹、職場の同僚にして最愛の婚約者の須磨子の 元を訪れるが、誰一人神崎の存在に気付かなかった。 家族や須磨子の様子から、自分を殺した経堂は逮捕されるどころか、平然と 『神崎殺し』の捜査に加わっていることを知った神崎は、「化けて出てやる」 と憎むべき経堂の元へ。しかしその経堂にさえ、神崎の姿は見えなかった 打ちひしがれた気持ちで職場に向かった神崎。自棄になり大声で叫んでいると 「誰かいるんですか?」という声が。それは同僚の早川だった。 祖母がイタコだったという早川は、どうやら霊媒体質だったらしく、 神崎の姿を見ることができ、声も聞くことができた。 はじめは気味悪がっていた早川だったが、次第に神崎の話に耳を傾け始める。 早川に犯行時の経堂の様子を話しているうちに、事件に黒幕がいることに 気付いた神崎は、事件の真相をつきとめることを決心する。 神崎と早川、幽霊刑事&霊媒刑事コンビの捜査がはじまったが、その矢先に 事件の鍵を握る経堂が、密室状態の取調室で死体となって発見される・・・・。 まず、神崎が浜辺で射殺されるシーンを読んで「ん?」ちょっとデジャビュな感じが。 須磨子の部屋を訪れるシーンで「もしかして・・・」となんだか嫌な予感が。 そして、早川との対面シーンで確信しました。読んだことあるじゃん、これ!(爆) 借りられなかったと思い込んでいたけど、いつの間にか読んでたらしいです。 という訳で・・・。最初の数十ページを読んだところで、黒幕の正体はおろか、 犯行動機までしっかり思い出してしまいました(^_^;) 再読であり、犯人がわかっていたにも関わらず、全く飽きることなく、どんどん 惹き込まれてしまいました。今更ながら、これ、かなり面白い作品だと思います。 神崎の唯一の理解者であり心の拠り所である早川とのやり取りがすごくいいです。 幽霊になった神崎は壁をすり抜けることも飛ぶこともできるけれど、早川以外の 人間には姿を見せることも声を届けることもできない。何かに触れたり、 動かしたりすることもできない。それが時折すごくもどかしくなる。 神崎と須磨子との間での「秘密の暗号」は、なんだか読んでいて恥ずかしく なっちゃうんだけど、それが後になって重要な役割を果たすことになります。 推理よりもどちらかというと人間ドラマ(幽霊ですが・・・)に軸を置いているという、 有栖川さんにしてはちょっと珍しいタイプの作品ではないかと思います。 とはいえ、怪しい動きをする人が結構でてくるので、推理のし甲斐はあるかも♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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