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2008年09月21日
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カテゴリ:さ行の作家
流星ワゴン.jpg

38歳、秋。ある日、僕と同い歳の父親に出逢った・・・。
僕らは、友達になれるだろうか?
死んじゃってもいいかなあ、もう・・・。38歳・秋。その夜、僕は、
5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。
そして、自分と同い歳の父親に出逢った。
時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。
やり直しは、叶えられるのか・・・?
「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。(Amazonより)



重松清さん。
有名な作家さんだというのにこれがお初です・・・(^_^;)

えんぴつえんぴつえんぴつ
38歳の主人公・永田一雄の家庭は崩壊寸前。
不特定多数の男達との浮気を重ねる妻の美代子。
中学受験の失敗をきっかけに不登校になり
家庭内暴力を振るうようになった息子の広樹。
一雄自身もリストラにあい、再就職もままならない。

一雄の父・忠雄は63歳。末期ガンで病床に着いている。
中学生の頃から、サラ金業に精を出す気性の激しい父を
嫌悪していた一雄だったが、父からもらえる「御車代」
名義の小遣い目当てで、心の無いお見舞いを続けていた。

情けない自分に嫌気がさし「もう死んだっていいや・・・」
と思っていた時、一雄の前に1台のワゴン車が現れた。

ワゴン車に乗っていたのは、橋本義明・健太という親子で
二人は一雄の抱える事情をすべて知り尽くしていた。

うらやましいほど仲がよく、楽しそうな二人は、
実は5年前にこのワゴン車でトラックと衝突事故を起こし
亡くなってしまった「幽霊」の親子だった。

「あなたにとって大切な場所へ連れていきます」
ワゴン車は時空を超え、過去へとさかのぼり
一雄の人生の分岐点のひとつである時間と場所、
1年前の新宿へと一雄を連れてきた。

過去を変えたいのに、どうすることもできない。
そんな一雄の肩を、誰かがポンと叩いた。
「なにしよるんじゃ、一雄」信じられない思いで振り向くと、
そこには若かりし頃の父・38歳の忠雄の姿があった・・・。
えんぴつえんぴつえんぴつ

ファンタジー系の設定なのに、内容はかなりシビアで
読んでいて何度も胸が痛くなりました。
でも、すごく優しさを感じることもできる作品。

自分と同じ歳の親と対面する。どんな気持ちだろう?
今現在、親との仲が良くても悪くても、
自分が子供だったから見えなかったこと、
自分が子供だったから親が見せなかったこと、
そういうものがたくさん見えてくるんだろうな。

少しずつ修復されてきた一雄と忠雄の関係。
でもその先にあるのは、「忠雄の死」による別れ。
それがちょっと切なかったです。

どんなに修復しようと努力しても、すべてが消え
結局、過去を変えることはできなかった一雄。

でも、過去に戻ったことにより、今まで気づかなかった
妻や息子の本当の気持ちを知ることができて、
前に進む勇気を持つことができた。

現実の世界に戻った一雄は、少しずつ妻と息子との
距離を縮めていく努力をはじめる。

過去は変えられないけど、未来は変えていくことができる。
当たり前だけど、すごく大切なメッセージを感じました。

色々事情はあったけれどそれを乗り越えた、
幽霊の橋本さんと健太くん。
二人のほのぼのムードもすごくいいです。

読み終わった後、なんだか元気がでてくる作品でした。

余談ですが、『流星ワゴン』というタイトルをみると
久保田利伸さんの『流星のサドル』という曲が
頭の中でグルグル回っちゃうのは、私だけでしょうか?(笑)







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最終更新日  2008年09月22日 18時54分41秒
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