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カテゴリ:か行の作家
怪人二十面相の正体は誰か。 原作者の江戸川乱歩さえ触れることのなかった永遠の謎を 劇作家でもある著者が大胆な想像力と緻密な構成で描く。 父が自殺し母も行方不明となった平吉は、孤児院に行く ことを拒否して、自らの意志でサーカス団に入門する。 そこで平吉の面倒をみることになったのは、あらゆる芸を即座に 自分のものにしてしまうサーカスの天才・武井丈吉だった。 芸の師匠でもある丈吉を父のように慕う平吉だったが、突然、 丈吉はサーカス団から姿を消してしまう。 「世間をあっといわせる泥棒になる」という言葉を平吉に残して。 話題の映画「K‐20」原作。 (「BOOK」データベースより) 小学生の頃、夢中で明智小五郎シリーズを読みました。 颯爽と事件を解決する明智探偵や溌剌とした小林少年よりも なんだか憎めないところのある「怪人二十面相」の方が好き という、ちょっとひねくれた子供だった私。 映画「K-20」の宣伝でこの作品の存在を知りまして 「二十面相側から見た物語」というのがすごく魅力的で 速攻で図書館に予約してしまいました。 昭和の初期、両親を失い、自らサーカス団に入団した平吉と その師匠であるサーカス団の花形スターの丈吉。 物語は平吉と丈吉、2人の視点で描かれていきます。 江戸川乱歩氏の原作では、「怪人二十面相」の正体は 元サーカス団員の遠藤平吉ということなんだそうですが、 この作品では、遠藤平吉の師匠の丈吉が「怪人二十面相」 の正体ということになっています。 「サーカスで磨いた華麗な技を駆使して世の中を あっと驚かすような大掛かりなショーがしたい」 というような理由から泥棒になる事を選んだ丈吉。 別に金目当てで泥棒をする訳ではないけれど、世の中を 騒がすためには、価値のある物を盗まなくてはならない。 技術には自信はあったが、美術品などに関する知識が皆無な 丈吉は、よりよいものを盗むため、必死に勉強をするなど 涙ぐましい努力の末、晴れて「怪人二十面相」となります。 「怪人二十面相」である丈吉が人情があり、ちょっぴり コミカルな感じのキャラクターとして描かれている反面、 「正義の味方」であるはずの明智小五郎と小林少年が 自己顕示欲が強く打算的で、かなり「感じ悪っ!」という キャラクターとして描かれています。 明智小五郎&小林少年ファンの方にとっては、噴飯ものな 設定だと思いますので、読む前には心の準備を…(笑) 「怪人二十面相」ファンの方にとっては、かなり楽しめる 作品となっていると思います。 ラストには2代目明智小五郎と2代目二十面相の誕生を 臭わせるようなくだりがありまして 「なるほど、世襲制か~!それもありだね~」と 妙に楽しくなってしまいました。 続編では2代目同士の戦いが繰り広げられるようです。 というわけで、速攻で続編を図書館に予約してしまいました(笑) ちなみに映画「K-20」は、この作品が原作ということに なってますが、内容はかなり違ったものになっているようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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