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Dec 11, 2005
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カテゴリ:生活



先週の日曜日、『契約』と呼ばれる行事があった。
ワシが住んでいるところは、昔からの集落であり、都会ではほとんど聞けなくなった消防団や青年団、若妻会などの絶滅危惧種的集まりがなんとかかんとか存続している。 まあ、青年団と言っても頭の天辺が薄くなり始めてきた40代が中心だし、若妻会に至っては、とうに××が上がっていそうなご婦人がほとんどなのだが・・・・・
 本来は、『契約』と言うからに、集落の決まりごと、例えば年貢の金額とか、一年間の集落の行事の打ち合わせをしたのであろうが、今ではまったく形骸化されてその言葉だけが残っている感がある。
 つまりは年に1回の集落の飲み会である。

 5年ほど前まではじいさんが行っていたのであるが、最近は何かと理由を付けられてワシに行かせるようになってしまった。
 家を継がせるつもりがじいさんにあるわけがない。 それなにの「なぜ?」と思いながらも、各家庭から1人は出席しないと反則金のようなものも取られるし、ワシも仕方なしに参加するようなものである。
 
 午後5時から宴会場にと言うことなので、4時45分には次男の自転車を借りてそこに向った。 自宅から自転車で2分ほどの田舎の宴会場である。 とても、料理屋とは言えない店である。
 少し早い気持ちもあったが、ワシらの集落用にあてがわれていた座敷のふすまを開けて中に入るとすでに皆の衆が集まっていた。 よほど他に用のない面々なのだろう。

 末席に座ろうとしたが、そこは役員の席だと注意されて上座近くの余っていた座布団に腰掛ける。
 早速、向かいに座った50少しのおっさんと、右隣に座った60前後のおっさんが声を掛けてくる。 「寅八(仮の当家の屋号)さんところはじいさんじゃないのか?」 「じいさんから『行け』と言われたもので・・・」と杓子定規な返事をしとく。
 40代はほんの一握り、ほとんどは50代以上の面々ばかりである。 話が合う筈もない。

 5時を過ぎた頃、宴会は始まった。
 米やコーンスターチの混じったビールで乾杯・・・・エビスを飲ませろよ・・・
 始めの2~3杯はビールにしといて、ビールを役員が注ぎに来たときを機に「酒が良いです。」と言う。 役員は1合コップと一升瓶を持って来る。
 コップをワシに手渡し、一升瓶から直に注ぐ。 醸造用アルコールが混じった。 味が悪いので、糖類などで味をごまかした日本酒もどきをなみなみと注ぐ・・・・・純米吟醸を飲ませろよ・・・・

 帰宅してから聞いたのだが、その宴会の1家庭からの集金は5000円だったらしい。 確かに品数が多かったが、どれもこれも大した味ではない。 まあ、田舎の宴会場に味を求める方がいけないのだが。。。なら、こんなに金を掛けないでもいいのではないか。とも思う。

 唯一、ちょっと期待できたのが”雑煮”であった。1人1鍋、固形燃料を点火してものの数分で、その上に乗っていた鉄鍋の蓋の隙間から少し蒸気が漏れてきた。
 仲居さんから「温まった程度で召し上がってください。」とのこと。 予め餅が柔らかくなっていたのであろう。
 木蓋を開けてみると、すまし風のしょう油仕立てで牛蒡・かしわ・せり・にんじんが覗いている。 そのそこの方には白い柔肌の餅が隠れていた。
 「まずは味を・・・」と思い、スープを掬って飲んでみた。
 「おおおお・・・いけるではないか!」

  餅を食べようと箸を伸ばした瞬間、役員の進行係が「宴もたけなわですので、ここで□▲様より謡(うたい)を披露してもらいます。」と・・・
 その声と同時に一同が正座する。
 ここの集落の宴会では必ず誰かが謡を披露する。 謡とは、もっとも馴染みがあるのが結婚式でちょくちょく聞く機会のある「たかさごや~~~~」ってやつである。 ワシはこれしかわからないし、高砂や、のあともわからない。
 しかも、ここの集落の宴会では、□▲が一節?を歌う?と面々が声を合わせて一緒に歌い始める。
 ワシも正座して、唱和できるはずもなし、じっと耐える。
 隣のおっさんが右手をズボンのポケットに入れてゴソゴソしている。 取り出した四つ折の紙には”謡”の歌詞が・・・・

 3分ほどして□▲さんと皆の衆の声が途切れた。 やっと煮えたぎっている雑煮を食える、と思いきや、また始まる。
 横目で隣のおっさんの紙切れを覗くと、歌詞が3ブロックほどあった。 先ほど、ようやく1ブロック終わっただけであったのだ。

 ワシはじっと耐える・・・・鉄鍋がグツグツ言っている。

 3分ほどして、また一息。
 皆の衆はシーンとして、また最後のブロックを唱和し始める。
 残り3分だ! 耐えるのだ!

 グツグツ言う鍋は、澄んだ褐色をしてたのだが、餅が煮えすぎて白くにごり始めていた。
 ワシはずっとその鉄鍋の中を見ていた・・・食べるのが遅かったか・・・反省しながら・・・

 10分近くの謡が終わり、箸で餅を取ろうとしたら、すでに鍋の中は雑炊状に変じていた・・・・



10日の夜から11日の朝に掛けてこの冬初めての大雪、積雪はそれでも10cm程度かな・・・これからどんどん積もって行きます。
 写真は露地駐車していたマイカー・ボンゴフレンディ。





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Last updated  Dec 11, 2005 02:54:59 PM
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