後半の感想です。
航太郎が亡くなって二カ月後。航太郎の部屋に佇み、数々のトロフィーを見つめる大雅
でも目線はやがて下がり、空を見つめる。もの想いにふける大雅。父を偲び、その人生を思い、偉大さをかみしめているのでしょうか。そして振りかえって己の不甲斐無さに臍を噛んでいるのでしょうか。
雨の中。事務所を訪ねてくる桜と詩織
奇しくも航太郎に世話になった女性が二人事務所に関わることになります。
礼儀正しく感じのよい桜だけれど、事務所を一歩出るや大きなため息、不貞腐れたようなきつい表情に豹変。結構気の強そうな一筋縄ではいかない叩き上げを感じさせます。
すれ違いざまに訪れる詩織は桜を一目見て子役だと気づくのですが、当の桜はそれが不本意なようです。
子役上がりというレッテルが厭なのでしょう。桜もまた、肩書からの脱皮を図りたい役者なのかもしれません。なのに航太郎事務所に所属するしかない事情があるんでしょうね。だからこその不貞腐れ顔なのでは。
社長に追悼番組に出たくないと駄々をこねる大雅
と―――っても甘えたくっている大雅です。
でも、彼の「俺は俳優としてちゃんとしたとこ――一回も親父に見せることができなかったんだよ!」という叫びは、分からなくはない。
もちろんそれは自業自得で自分がまいた種なのですが。
でも、甘えん坊のわがままお子ちゃま大雅くんなりに、父親への愛情の吐露でもあるわけです。
お父さんに一度でいいから見せたかった。見てほしかった。褒めてほしかった。安心してほしかった。そんな気持ちが伝わってきます。
とはいえやっぱりそれは駄々っこのわがままに過ぎません。
社長が甘ったれを一喝。「甘えてんじゃねえよ!日本中どこ探しまわったってな、お前に頼む役なんざどこにもねえんだよ!!」
よく言った社長!
と快哉を叫びたくなりました。その通り、甘ったれんじゃねえんでございます。
そう言われて、返す言葉もない大雅。
事務所が売ってくれないからだろ!と言いながら、やっぱり彼は自分が原因だってことが分かってるんです。だから今度は二世俳優で親父が大きすぎるから仕事がないんだとでも言わんばかりの文句を言い始めます。
そこへ登場詩織さん。
もう、ここの詩織さんの啖呵が気持ちのってなんのって。
詩織「あなたの仕事が上手くいかないのはお父様とは関係ない。あなたの問題でしょ。」
大雅「はあ?」
詩織「あなた自身の問題よ問題をすり替えないで。」
大雅「いやちょっとあんた何言ってんだよ」
社長「あのちょっと」詩織「すいません」社長「はいっ」
詩織「いい。あなたにお芝居の仕事がないのは、おとうさまのせいじゃない。あなたが下手くそだからよ。あなたの演技が下手くそだから売れないの。売れなかったの。それを、自分の力を差し置いて全部周りのせいにして自分だけ被害者ぶるのはもうやめなさいよ!」
大雅「何言ってんだよ、この素人が!」
詩織「そう、素人よ。素人だから視聴者の代表として言わせてもらうけど、あなたの演技は独りよがりなのよ」
事務所の面々(あちゃー、言っちゃったよ~)と言った面持ち。
この後も詩織節は延々と続くのですが、ここの竹内さんはさすがです。立て板に水の長台詞。まくしたてるけどメリハリがあって妙な説得力があって、非常にスカッとします。
視聴者が言ってほしかった言葉を全部すっきり代弁してくれているので、観ていて気持ちがよい。
航太郎の演技のどこが素晴らしいかを力説するのですが、それを聞いている大雅もなんか素直に説得されてる(笑)。
やっぱり分かってるんです、大雅も。だからやっぱり反論できないわけです。で、目を逸らして尻尾をまいてそっから立ち去るしか、自分のプライドを守る術がないという。
事務所の面々も同じことを考えていたんだということに気づき、事務所から出ていこうとする大雅。その彼に追いすがって、手紙を渡す詩織。
彼女が事務所を訪れたのは、大雅にこの手紙を渡すため なのでした。
「ファンレターです」と詩織。
そう、その手紙は、航太郎から、息子大雅へのファンレター。
がんばれ、がんばれ。という父の愛のこもった最後の手紙なのだから。
さて、社長さんと詩織さんは面識があるようです。詩織も言われて思いだす。ずいぶん間がありましたから、どうやら社長と詩織が会ったのはずいぶん前のことのようですね。
本で埋め尽くされた部屋に帰ってファンレターを読む大雅
それが、父親の詩織に宛てた手紙であることを知って、飛び起きます。
その手紙に込められた、父の自分への想い。
文面の最後に書かれた「あなた方」という言葉がひっかかります。航太郎は詩織に子供がいるのを知っていたということですね。それくらい親しい間柄であるということが言えます。
父親がそんなふうに自分をしっかり見てくれていたんだということを知る大雅。
この父に報いるにはどうしたらいいんだろう、と頭でっかちにまた考えてる様子です。
航太郎の墓にて
ありし日の父を思い起こしながら、大雅が父の決め台詞をたどります。
人生、風の如し。生きるも死ぬも風の吹くまま気の向くまま。
「 やあ、 愉快 愉快。……」
この場面がもう!第1話の一番印象的だったシーンです。
もうね。
まず讃美したいのはこの口上を言ってる時の所作の美しさ。さっと剣にみたてた傘を斜に振りおろした時のポージング、美しいです。
そして何より。
やあ、愉快、愉快の部分の間がたまらん!表情がたまらん!
ここだけで大雅の父への愛情と父親を失ってしまった哀しみが画面のこちらに強く静かに迫ってきます。台詞回しも表情も絶品ですよ松本さん。
ぐっときて涙がこぼれちゃいました。
演出の澤田さん。ここで切って次は肩を震わせる大雅を映すだけで十分だったのでは。
号泣場面はやや蛇足ですよ。「何で死んだんだよ」ってセリフもいらない。それまでの演技で十分その心情は伝わってきてるから。
それにしても、涙ポロポロこぼれてるのに、等速じゃ涙が分からんという。なんでだろ。顔の起伏が激しいから涙が目立たないんですかね。
スロー再生するとポロポロ泣いてるのがとっても良くわかるんだけど。損だなあ顔が濃いって。
で、演出の人ってそろいもそろってなんで松潤の泣きを長映ししたがるんだろう。短い方がいいと思うんだけど。
で、そこを偶然(!)詩織が見かける、という。
もうね、運命の恋人同士ですから全編運命に支配されてます(笑)
事務所にて
月給から歩合制への給与体系の変更を言い渡される大雅。
ほんとはそれくらい分かってないと行けないんですけど、歩合制の説明を視聴者にしないといけないもんですから、「それって?」と大雅は解説を求めます。
ま、ドラマでよくある説明セリフ。
とにもかくにも、今のところ28000円しか収入がないということが分かった大雅。
「それじゃ食ってけないよ!」と文句を言いますが、多分食べるには困らないから、遊ぶ金がなくなるってことですかね。
そこらへんの甘ったれ根性も、今後叩きなおされていくんでしょう。期待期待。
「なんてことだ…親父のせいだよ」ってもう口癖ですね。
そこでしおりん登場です。事務所で働くことになったそう。
「俺の給料減るのになんで人雇うんだ!」と詰め寄る大雅ですが、詩織がぼそっと「すげー泣いてたくせに」大雅「はあ?へええええ!?」詩織「(ニヤリ)」
ここのやり取りの間合いがいい。
詩織を給湯室に連れ込んで、5日前に親父の墓に来たかと確認する大雅。どうやら来てたらしいと知って、「あれは…演技だから」
ここのセリフ回しがいい!なんか微妙にいい(笑)一生懸命突っ張ってる感じで、しかも念を押す感じで。
精一杯の言い訳を、あーあ、可愛いねえって感じで受け止めてやる詩織さん。
自分の顔を愛くるしい顔で覗きこむ一目ぼれの相手を見て、大雅君、ちょっと自分に気があるかもと勘違いしたのか。おし!とばかりにキスしようとしてカウンターパンチを食らう。
倒れ伏した大雅を覗きこむ影。
それは
つめたーい目をした女の子。
出て来たしおりさんに「ママ!」
そして振りかえりざま大雅に再び冷たーい眼差しを浴びせます。
ママを取ろうとしたって無駄だからね!って宣戦布告してるみたいな目です。星蘭ちゃんいい芝居。
そして最後。
モノローグはいらないくらい表情で語る男松本潤。
「子持ちかよ~」どこを見てるかわからないノボセタ目をしてごろんと寝転がる。
以下、次回。
と言う感じです。
結構次回が楽しみなんですよね。あと二日。待ち遠しいです。飲み会なのでリアルタイムでは見られませんが(残念。ちょこちょこワンセグで覗こうかしら)