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カテゴリ:映画
久しぶりにDVDを借りて見た。

「プライドと偏見」

クラシカルなコスチューム物が観たい、ついでに恋愛物なら尚善しということでこれを選ぶ。
一言で言うと、途中で飽きた。
脇の妹たちが生きていない。男性陣に魅力がない。痛恨です。



「グラン・トリノ」

派手さゼロ。なのに最後まで目が離せず。一体最後どうなるのか、手に汗握った。そして号泣。
これは朝鮮戦争を経験した、「手に残る人殺しの記憶」の呪縛から解放されない男の物語だ。
宗教では救われない罪、だがしかし最期を前に男は教会で身をすすぐ。そういう文化圏での物語なのだ。
頑固で古風な老人ウォルトは、一見人種に対する偏見を持っているように見えて、実はリベラルである。
それは床屋の主人とのやりとりをみてもわかる。
新たに越してきた隣人のモン族を最初は疎んでいるものの、今では失われてしまったと思っていた良識・心配りを彼ら姉弟が持ち合わせていることや、少女の気風の良さに気づいて、彼はすぐにわだかまりを手放す。

東洋人を手にかけた苦い記憶に縛られ続けている老人。それゆえ彼らと関わりを持たないようにしていたのだろう。その証拠に彼は肌の色の違う相手を疎みはするが蔑みはしていない。
そして(だからこそ)気立てのよい少女とその弟に、彼の心は簡単に絆されていく。

脚本がいいんだろうなと思う。
私は字幕で鑑賞したのだけれど、少年を地下室に閉じ込める場面での勲章に関する台詞など見事としか言いようがない。

床屋の親父とのやりとりや少女の気のきいた会話なども洒脱で、キャラクターも立っている。
神父(ルーテルだから牧師というべきか)もありふれた使い方には終わっていない。
この物語のテーマを口にするのはこの神父なのだ。
生と死。
そして贖罪。
時代の埋葬。
しかし残されてゆくものもある。
その象徴が、グラン・トリノなのかもしれないと思ったりした。

辛い結末を迎えるが視聴後感は決して悪くない。
むしろ落ち着くべきところに落ち着いたという予定調和感すらある。

号泣はしたけれど、最後のタオの頬笑みに救われた。
それは観客にとっての救いであるとともに、老人にとっての救いでもあるのだろうと思わされた。

いい映画でした。クリント・イーストウッドってすごいの一言に尽きまする。





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Last updated  2011/08/12 06:54:46 PM
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