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カテゴリ:陸上
 適量のビールを飲みながらフルコースの昼食を取れば、夕方のレースは後半ペースが落ちず、どちらかと言えば後半型のレースができる。


 4年前にはこの神話は健在だった。だけど、あのころは練習も十分にできていて、スタミナには絶対の自信をもって臨んでいた。

 それにひきかえ、今年は昨年6月の貧血に始まり、10月に手術、そのあとわずか4ヵ月でかろうじて試合に間に合わせたという感じである。

 2004年に第1回世界マスターズ室内陸上競技会が始まった。開催国はドイツ。4月にニュージーランド遠征を予定していたところ、それより先、3月にあると聞かされ、寝耳に水だった。

 それ以来、ぜひとも参加したいと思っていた大会で、今年オーストリアのリンツで開かれるとあっては、これはもういてもたってもいられない。室内大会といっても、200メート理のトラックで3000メートル競歩があるほか、別会場で10キロ競歩もある。


 室内3000メートルは先頭から大きく置いていかれたが、練習ができていないわりには体が動いた。だが、2日後の10キロはスタミナに大きな不安が残る。

 中一日の休み。日程の都合で、この日にチェコに行かなければほかに行く機会はない。そんなわけで日帰りでチェコの小都市、チェスケイブデイヨヴィーチに行った。何とも舌を噛みそうな名前で、切符を買う前に何度も口に出して練習し、無事つまらずどもらず切符が買えたときにはほっとした。

 練習ができているときはそれなりに充実しているが、逆に練習ができていないときには自分でも多くを期待していないだけに、すごく楽な気分で臨むことができる。

 ここリンツに来てから、けっしておいしいものにめぐり合わないわけではないのだが、おいしい肉団子のスープが出てきたかと思うと、やたら量の多いこってりしたパスタが出てきたりして、今ひとつ「食べた」という達成感が得られなかった。

 10キロレース当日の昼、レース前だから別にいいものを食べるつもりもなかったので、ホテルの近くにあった市庁舎のレストランに入った。でも、よく考えてみれば「市庁舎に入っているようなレストランにはあまりいいものはない」というのは日本人の先入観で、そこはけっこういいフルコースを食べることができた。そうなると、ビールは1杯ですまなくなる。


 1時間は切りたいが、この練習ではムリかもしれない。滑り出しの1キロがかろうじてキロ6分をわずかに切っている程度で、それほど余裕があるわけでもない。これでは後半の落ち込みを計算に入れると、1時間を切るのはまずムリだろう。

 ただ、ちょうどいい具合に、スペイン人選手二人とオランダ人選手一人、それとぼくの三人で集団を作ることができた。とにかく、この三人についていくしかない。そのうちにスペインの二人がいつの間にか落ちてしまい、オランダ人選手が前に出た。

スペイン選手には3000メートルで勝っていたが、このオランダ人選手には3000で1分負けている。計算上は10キロなら3分離されることになる。そこはしかし、外人を相手にすると燃えるのがぼくの性分。しかも、このオランダ人、もともとジャワあたりの血を引いているのか、アジア人の顔をしていて親しみも涌く。3000メートル以来、顔を合わすたびに言葉をかわしている。

 そのさらに前は選手の姿は見えない。このオランダ選手に離されたら、辛い一人旅になる。このうえは何が何でも食らいつくしかない。ぼくはもう記録のことは忘れて、ひたすらこの選手につくことだけを考えた。なぜか、スペイン選手団から「ハポン、がんばれ」と声援が飛ぶ。Graciasと返す。一時20メートルほど離されたが、ゴールではきわどいところまで追い詰めた。こういうレースをすると、勝ち負けはもうどうでもよい。お互い、心の底から相手の健闘を称えたい気持ちになる。

「いいレースだったな」と相手が言った。
「おかげで58分台がでたよ。ありがとう」


 後半、ここまでペースが上がっているとは思わなかった。やはり、ビール神話は生きていた。

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最終更新日  2006年10月09日 14時48分22秒
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