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カテゴリ:食事
 土俵際まで追い詰められたぼくたちは、今度は発想の転換をはかり、ブリスベン川の河畔に向かった。そうして、いかにも観光客の行きそうなところという先入観を捨て去ってみると、以外に面白いものが見つかった。生牡蠣と本格的なパスタ。これでようやく一矢報いることができた。

 さあ、いよいよ現地で手に入れた観光案内をもとに、カンガルー料理の店に乗り込むぞ。

 

 どうもその店は、住宅街に紛れていて、本当にこんなところにレストランがあるのだろうかと思わせるような場所にあった。いささか胡散臭い感じがしないでもなかった。

 思い切って中に入ると、やや照明が暗めであるほかは、それほどふつうの店と変わらない。

 なかなかいいところらしい。ただ、量が心配だった。

 そこで、「この国はどうも料理の量が多いので、」と切り出し、「場合によってはコースをふたりで分けるようなことも、」と言おうとすると、ボーイは「大丈夫ですよ。うちはそんなに量は多くないですから。まずはメニューをご覧になってください」と言った。

 なるほど、カンガルーだけではない。山鳩もうさぎもある。

 あとで妻が「この国の料理は量が多いなんて、よくあんなこと言ったわね」と言った。

「ううん、まあ、賭けだったかな」

 まあ、ぼくらと自分たちの体格を比べれば、それくらいのことは納得してもらえるだろう。それにどこもかしこも量だけで勝負している店が多いなかで、ほかでは食べられないものを選りすぐって出しているというボーイの誇りも感じられた。それで悪い印象を与えてしまったような様子はなかった。

 カンガルーの肉は、かなり苦労して香辛料で臭みを消しているという印象はあったものの、けっこうやわやかくておいしかった。そのうえに、微妙な歯ごたえの山鳩とうさぎ。

 食事が終わると、コーヒーにしますか、アルコールにしますかと訊かれる。この国では、いったん食事が終わったあと、改めて「飲み」にかかる人も多い。

 そういう人たちのふるまいが、照明と相まって実に優雅に見える。


 これまで食事に恵まれなかった分を、それこそ何日分も一気に取り戻した感じだった。


「で、どうしてそれが食い物の怨みなんですか」と訊かれそうだ。

いい質問だね。


今までさんざん量と甘さに悩まされてきて、これだけの店を見つけたら、たとえ素面でも他人に話したくなる。ましてほろ酔い加減。ホテルに帰ると添乗員さんがいたので、さっそく聞いてもらえるぞ。

ところが、どうも様子がおかしい。

添乗員さんが、選手団のひとりから苦情攻めにあっている。


端で聞いていると、その選手が自分のミスでレースに出られなかったのをJTBの責任にしているらしい。

「そりゃあ、基本的な手続きは全部やってもらいましたよ。でも、私が幅跳び行ってる間に200メートルのコールが終わってしまい、結局出られなくなったじゃないですか。(それは自己責任) ほかに安い旅行社いっぱいあるんですよ。友人がいっしょに行こうというからJTBにしたんですよ。それだけのお金を払ってですよ、競技参加のそういう細かいことをですよ、われわれがしくじらないように気をつけてくれないと、何のために高いお金 払ったか、わからないじゃないですか。(あんまり関係ないと思う。) 何もね、金メダルや銀メダルがどうこう言うんじゃないんですよ。(言ってると思うんですけど。) 私の70歳の記録をこのオーストラリアの地に残すことが問題なんです。私を送り出してくれた会社の人たちにいったい何て言えばいいんですか」


(ブログの途中ですが、この科白が何回も何回も繰り返されまして、長い時間が経過したことをお伝えしておきます。)


 結局、添乗員さんとは話ができないまま、あきらめて部屋に帰ることになった。

 胃袋はおいしいものをみな消化してくれた。それなのに、頭のなかに消化しきれないものが残った何とも不思議な夕食だった。



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最終更新日  2006年10月26日 08時56分28秒
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