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カテゴリ:食事
 学生時代にひもじい思いをする。それはある意味では、将来のためにお金を預けるのにも似た行為ではなかろうか。
 だれだって、一生そんな生活をしたいとは思っていない。
 大学のとき、自分が使えるお金を計算したら、昼は素うどんしか食べられないことがわかった。それも毎日食べていたのではお金がもたない。仕方なく2日に一度にした。
 ユースホステルを使って旅行すると、とんでもない目にあうことがある。
 夕食に出るタンパク系のものと言えばいわしくらいのもので、ごはんのおかわりもなし。おなかがすいて眠れない。
 いちばんひどかったのは、お寺のユースに泊まったとき。
 雪の中をようやくたどりついたところは、どうもシーズンだけ合宿に使うようなところで、宿泊客はぼく一人。大きな部屋に火鉢ひとつだけの寒いところで長い間待たされて出てきた夕食のおかずがなんと3つだけ。ゴムのような鶏の皮と、縁が固くなった昆布巻きと、ぼくがただひとつ食べれないらっきょ。
 縁が固くなるほど古くなった昆布巻きを客に出すのも、仏の道だと思っているのか、いくらなんでもあんまりだ。そのあんまりな食べ物がその夜唯一ぼくが食べることができるものだった。らっきょはアレルギーで受けつけない。鶏の皮はいくら噛んでも噛み切れない。
 お寺で食べ物を残したら叱られるかもしれないと思って、わからないようにゴミといっしょにくるんで捨てた。

 まあしかし、それもこれも、学生時代のお金のなかったころのこと、今では笑って話せる思い出になっている。
 そんなことが食い物の怨みになっているわけではない。

 人はみな、そういうひもじい学生時代を過ごして大人になり、少しばかりお金ができなら、年に何回かはちょっと贅沢をしようと旅に出る。
 それなりの料金も支払い、隣の割烹と同じ経営者がやってる旅館とあれば、夕食にそれなりの期待をもっても当然だろう。
 何も質素なものがいけないというわけではない。質素なものは質素なものなりに、すごくいいものを食べたという思いが残る。東北の団子汁なんかは、確かに団子と近くで採れる野菜しか入っていないかもしれないが、ぼくなんかにはなかなかのご馳走に映る。
 
 じらすのはこれくらいにして、先を急ごう。
ずばり夕食のいちばん真ん中のお皿に陣取っていたのは、何と(何の変哲もない)さんまの塩焼きだったのである。
 
 ただこの日のために、毎日毎日ひもじい思いをしてきたぼくの学生時代はいったい何のためにあったのか。



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最終更新日  2007年01月15日 14時15分33秒
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