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売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

Nobuyuki Ota

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2024.08.25
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中国から日本研修にやってきた27人との怒涛の1週間が終わり、今日は一息ついています。

​2月恒源祥本社にて。左:陳会長、右:齋藤孝浩さん​

昨年末杭州での中国アパレル経営者セミナーに参加した最大手ニットメーカー恒源祥の陳(リチャード・チン)会長から「あなたの話を社員にも聞かせたい」と社員研修の申し込みがあり、2月に2日間上海近郊の蘇州のホテルで社員研修をさせていただきました。その後陳会長から日本での研修の提案があり、6日間のプログラムを組みました。

同社は国営企業時代も含めて歴史あるニットメーカー。欧米列強諸国の統治や日中戦争、国民党と共産党の対立混乱が続いたこともあり、中華人民共和国で100年続く企業は少ないと言われていますから、今年創業98年はレアな会社。グループ社員総数は4万人の巨大企業です。オリンピック中国選手団ユニホームやIOC(国際オリンピック委員会)幹部、聖火ランナーのウエアも提供しているオフィシャルサプライヤーでもあります。

​佐藤繊維佐藤社長が工場を案内しながらレクチャー​


佐藤繊維直営セレクトショップでお買い物も

陳会長はパリオリンピック視察から上海に戻ってすぐ日本に。研修初日は山形県寒河江市の佐藤繊維工場見学。紡績からニット製造、自社ブランド販売まで行っている珍しい一貫工場です。佐藤正樹社長から差別化商品をどのように創作しているか、工場を見学しながらレクチャーを受けました。まるで織物のようなウールジャケットや家庭用洗濯機で丸洗いできるセーターに研修団は驚いていました。

​東京に入った翌日、午前中は私の講義。2月にマーチャンダイジングの研修を終えていますから、今回は東京で注目すべき小売店とビジネス形態を説明。午後は渋谷パルコの売り場を歩いたのち、同社元常務泉水隆さんから渋谷店改築時のブランド導入の考え方について具体的な説明がありました。

渋谷パルコ2階beautiful people

3日目はニットデザイナー村松啓市さんから、自身のブランドmuucを展開しながら彼が主宰する社会貢献プログラムAND WOOLの説明。この事業に陳会長は中国でも同じような社会貢献事業ができるのではないかと興味津々、さっそく村松さんに早い訪中を勧めました。

​村松啓市デザイナーからAND WOOLの説明​


新宿伊勢丹5階muucとAND WOOLポップアップ

その後スパイラル5階CALL(ミナペルホネン)を皮切りに、南青山ブティック街を視察。イッセイミヤケ8店舗、コムデギャルソン、ヨウジヤマモト、ビューティフルピープル直営店のほか、編み物サークルも開く毛糸店ウォルナット東京にも足を伸ばしてリサーチ。ウォルナットではスタッフの丁寧な説明に耳を傾けていました。

4日目はMAKUAKE視察後、EZUMIデザイナー江角泰敏さんのシーズンテーマ設定のプロセス講義とワークショップ。ロンドンのセントマーチン校で学んだ江角さんは学生時代に訓練されたテーマ設定のプロセス「Mind Map」を一緒にやってみましょうと面白い講義をしてくれました。

​江角泰敏デザイナーのワークショップ​

5日目は元部下だった堀田健一郎さんがヴィジュアルマーチャンダイジングの事例紹介、特に店頭とネットを繋げお客様とのタッチポイントをいかに魅力あるものにするかを話してもらいました。

その後幹部だけ両国に移動して世界のトップブランドに特殊なニット糸を販売する丸安毛糸を訪問、岡崎博之社長らにオリジナル商品の説明をしていただきました。トップブランドが同社のニット糸を採用している理由に納得、陳会長から将来一緒に商品化したいと発言ありました。

​丸安毛糸ショールームにて​


​中:丸安毛糸 岡崎社長、右:陳会長​

今回山形の工場見学にも都内ショップまわりも同行、私がお願いした講師のレクチャーにも付き合いました。陳会長とは東アジアファッションビジネス連携や企業経営の理念から、ものづくりに何が重要か、さらには新たな商品開発構想まで連日いろんな話をすることができました。昨年末私のセミナーを聞いてすぐアクション、2月社員研修と8月日本研修を実行するなど早い決断とすぐ行動する経営者ですから、帰国して日本素材での商品開発やデザイナーとのコラボ企画を進めるのではと期待しています。

来月下旬には恒源祥創業98年記念イベントがあり、さっそく訪中を再び促されました。手ぶらでは行けないので、幹部に向けて中身のあるレクチャーの準備をしなければなりません。スピード感ある経営者と付き合うにはこちらもスピード感ある対応をしないと。

​中:陳会長、右:佐吉事業管理コンサル金代表​

昨年9月I.F.Iビジネススクール教え子である齋藤孝浩さんに佐吉事業管理コンサル金代表を紹介され、金さんが連れてきたアパレル経営者訪日研修団にセミナーをしたことから中国と私の関係が始まりました。12月杭州で経営者セミナー、2月恒源祥の幹部社員研修、4月佐吉コンサル主催訪日研修団の経営者たちにレクチャー、7月杭州で皆川明さんとのデザインセミナー、寧波の大手紳士服メーカーでの研修、そして今回の恒源祥日本研修と続きました。9月には上海で創業祭に参加予定、10月には三度目の訪日研修団セミナーがあり、11月も金さんから訪中を誘われています。

たった1年で中国関係でこれだけいろんなことが起きました。中国経営者はとにかくやることがほんとにスピーディー、これは日本のファッション流通業界が学ぶべき点ではないでしょうか。セミナー終了後に「いいお話聞きました」と言うだけでは何も始まりませんから。





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Last updated  2024.08.25 14:53:54
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