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テーマ:合気道。(539)
カテゴリ:合気修得への道
人間は普通考えられているよりはるかにすごい能力を秘めています。です
から、人の言うことを鵜呑みにするのではなく、自分で確かめる、自分の直 感を大切にする、あるいは自分の心に聞くということが大切だと思います。 その点佐川先生は、これは間違いだという言い方は絶対なさらなかった。 「私はそう思うけど、もしかしたら違う答えがあるかもしれない」と言われ た。「私はそう思うから、こうやってきたけど、これとはまったく違う良い 方法があるかもしれない」と。そこの幅がすごいと思います。 大変印象に残っているのは、「自分がわかった合気は合気全体の三分の一 くらいだろう」と言われたことです。つまり毎日のように発見が続く先生に とっては、まだ先があるということが実感としてわかるのでしょう。ニュー トンも亡くなる前に、自分は真理の大海の前で遊ぶ子供のようなものだと言 ったといいますが、それは謙遜でもなんでもなく、発見が続く人の実感なの だと思います。発見が続く人というのは、自分がわかっていないことがまだ たくさんあるんだというのを実感として持つのです。 ところが発見がなく、もう自分はわかったという気になっている人は、自 分が正しくてほかは間違いだときめつけてしまう傾向があります。発展性の ない考え方になってしまう。 いずれにしても人間は変化していきます。変化しないと思っている場合 は、ふつう知らないうちに退化しています。変化の仕方は基本的に自分で選 べることであり、いくらでも新しい自分を想像していけるのでしょう。 そして、佐川先生は人間はいくらでも進化できるということを身をもって 示してくださいました。そういう意味では佐川先生は最期に強烈なメッセー ジを残されました。 亡くなる前日の稽古では、一週間前と別人と言ってよいほど合気の感触が まったく変っていました。その感覚は言葉ではとても表現できないほどのす ばらしさでした、私は三回も激しく畳に叩きつけたことも驚きですが、今思 うと最期に大きく進化され、人間は本当に死ぬまで進化できるのだというこ とを、身をもって示されたということだと思います。 合気修得への道 佐川幸義先生に就いた二十年 木村達雄著より お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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