私の背中
大学院入試日から2カ月。合格発表日から1カ月。ようやく少しづつ覚悟ができてきたように…思う。今。この瞬間、少しづつは過程でしかない。未完成で、中途半端で、何もない。そんな自分を記録しつづけることにも意味があるように思える。障害児2人生んで大学院なんて…テレビなど虚像の世界なら皆、手も叩くだろう。でも、そんな子どもを自分の子どもが面倒をみなければならない立場になってみたら。虚像なんかではなく。実利害が伴うとしたら。答えは誰よりも自分が分かっている。私は誰よりも自意識過剰で、弱者なんて死ねばいいと思っていた人間だったから。私は今、過程にいて中途半端だ。これから、どうなるのか、どうなっていくのかわからない。きっと、成功事例なんてほんのわずかで。よくある障害児の親のサクセスストーリーなんて、ほんのごくごくわずかで。大部分は私のような中途半端な過程をふんで、それなりの帰結を結んでいったのだろう。…でも、それは何も障害児の世界だけではない。甲子園に何度も出場した野球少年たちでさえ、絵になるサクセスストーリーなんてものを描ける子供は数限られいるのだし。まして、その裾野にはその何倍もの子供が存在するわけだ。そんな路傍の石の生き様、中途が存在したっていいじゃないか。わが子の障碍に悩み、愛しきることができず、それでも捨てる勇気ももてず。自分の人生をかけてあげることもできず、やりたいことを捨てきれることもできず、そんな中途半端で、未完成で、カッコ悪くて、達観できない人生があっても、きっといいのだと思う。愛しきることも信じてあげることもできていなくて、常に悩みの種の娘だけど、彼女に恥じる背中だけは見せたくない、と…せめて、そう思う。