原作使用料100万円は安いか
原作使用料100万円は安いか 先日、地上波でオンエアされた映画「テルマエ・ロマエ」の原作使用料が約100万円だったことが分かった。 原作者本人が明かしたから分かったのだが、実はこの映画、興行収入が60億円と云う大ヒットであったのである。 では、なぜ、こういうことになったのだろうか。まず、この映画の原作はヤマザキマリエさんの漫画である。 ヤマザキマリエさんの原作使用料については、出版社と映画製作者との間で原作使用料が交渉されたという。つまり、原作者はこの間の交渉に参加しなかったのである。 しかも、この原作使用料については、日本文芸家協会に著作物使用料規定があり、映画化の場合は1千万円が上限であるとされているのである。 驚いたのは、これら全てが業界慣習と云う名のもとに行われていることである。著作物の二次的利用について、著者から出版社が委任を受けた形にして、出版社は原作者のことを勘案しながら交渉するのだろうが、所詮は組織と原作者との利害は別である。 このことについて、映画評論家の品田雄吉氏が業界の裏話を披露されながら、作品がコケるリスクを考えれば安くはないと擁護しておられた。 しかし、それは、業界人の理屈である。60億円も興行収入をあげておいて100万円では、それを世間は欲張りというものだろう。 映画産業は興行の世界と同様、未だに近代的な産業ではないのかも知れない。 それともう一つ。出版業界も旧態依然であり、「同じ穴のむじな」の可能性がないとは云えないのではないだろうか。出版社と作家は一心同体と云いながら、実は出版社も自らの権益拡大ばかり考えているとしたら残念なことである。 この問題は、そういうことを思い起こさせてくれる事案である。***************************************************謎の不良老年 柚木惇 Presents***************************************************