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テーマ:好きなクラシック(2324)
カテゴリ:オーディオ一般
東京都交響楽団(都響)の1000回記念公演として、インバル指揮によるブルックナー交響曲第9番・第4楽章(いわゆるSPCM版)の最新版の日本初演が行われるという。
ブルックナー好きとして、聴き逃すことは出来ないので、東京芸術劇場に行ってきた。 平日の昼間の公演にもかかわらず、聴衆の8割方は男性であり、ブルックナー・ヲタク集合という感じであった。 まず、オーディオ的に言えば、華やかな響きの東京芸術劇場ホールでは、管楽器のミスが目立ちやすい。しかし、都響は非常にレベルが高く、弦のユニゾンの美しさ、木管のうまさ、金管・ホルンの輝かしい音色、豪快なティンパニーなど、質の高い演奏でインバルの解釈を表現していて素晴らしかった。 で、問題の第4楽章であるが、これは賛否両論ありそうな内容であった。 インバルの全集に入っていたのはサマーレ(S)・マッツーカ(M)版(1985)であったが、私は1回聴いてガッカリしたのを覚えている。その後、コールス(C)、フィリップス(P)が加わり、SPCM版として何度も改訂を繰り返してきたそうである。C,Mが中心となった2011年改訂版が最終版と言われていたが、今回Pが終結部を大きく変更した2021-2022改訂版を作成し、その日本初演だということであった。 演奏終了後に行われたアフター・トークでは、指揮者インバルよりもむしろフィリップス氏が熱弁を振るい、S,C,Mの了承を得た最終的バージョンであると力説していた。文献学的には、作曲者の意図を丁寧に組み込んだ版であることは確かなようである。 第3楽章までは最新のコールス版でなく、従来のノヴァーク版で演奏され、続いて第4楽章がフィリップス氏の新しい版で演奏された。印象であるが、大部分は以前のS-M版と同じで、不吉な感じの第一主題から途中他の曲のテーマなども組み込みながら、進んでいく。終結部は以前のものに比べてだいぶ削られて、かえって意図が不明瞭になっているように感じた。不協和音での終結部はあまりブルックナー的とは言いがたく、私にはいかがなものかと思われた。 完成度の高い第3楽章までの緊張感あふれる名演と比べて、何とも不完全燃焼のように思われる第4楽章であったというのが私の率直な感想である。もちろん、行って良かった演奏会であることは間違いない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.06.06 22:21:25
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