カテゴリ:よもやま
わたしの一連の読書報告をご覧くださった方は既にお気づきかもしれないが、わたしの読む本の大半は「世の中、実はこうなっとる」というテーマのものである。
本書もそうだが、こりゃまた強烈でっせ~。 『医者に殺されない47の心得』 ・著者:近藤誠 ・出版社:アスコム 著者は放射線科の現役医師でありながら「医療」をほぼ否定する立場をとっており、『成人病の真実』(文春文庫)、『患者よ、がんと闘うな』(文春文庫)といった著書で知られる。 わたしも以前にこの2冊を読んでいるが、最近になって遠縁の親族が「胃がん」で余命数ヶ月と診断されたと聞き、こりゃ大変改めて読み返そうと思ってた矢先、最近出版された著者の主張のダイジェスト的な本書を書店で見つけたので、これは便利と購入! 本書は47の「心得」が3ページずつコンパクトに記述されており、既に他の著書をお読みの方にも日々参考にするには便利と思うので、初めてこれらの主張に触れる方だけでなくお薦めしておきたい。 生命に関することなので、アンポンタンなわたしの駄文で誤解を与えてはマズイので詳しくは書かないが、 ■がんと診断されても放置せよ。がんは治療するほど命を縮める。 ■そもそもがん検診に行くな。やればやるほど死者が増える。 ■がんが治療で治ったという事例は、全て放置しても害のない「がんもどき」。 ■コレステロールを減らすな。少し小太りのメタボがいちばん長生き。 ■血圧や血糖値をクスリで下げるのは無意味かつ危険。 といった内容のことが書かれている。 要は、医者なんて行ったところで病気の9割方は治療で治るわけでも回復も早くなるわけでもない。副作用、後遺症や医療ミスで寿命が縮まるリスクの方が大きい。治る病気は放っときゃ治るし、治らない病気は放っておいた方が医者に余計なことされるより長く生きられる。食事制限なんてやめてステーキとか好きなものを食べなさい、なんて、今までマジメに検診受けて医師のいうことを忠実に聞いて来たわれわれには「驚天動地」な内容のことが書いてある。 ここまで書いてしまってよくこのセンセ業界で生きていけるな、またはよく暗殺されないな、と心配してしまう。 じゃ本書を読んだら金輪際もう医者とか病院にかかるもんかと思ってしまうかというと、もし事故に遭って大怪我して出血や複雑骨折しまくっているのに病院には行かねーぞ!とはならないと思う。そこはしっかり主張の本質を理解すべきであろう。本に書いてあったからといってそれを無批判に受け入れてしまっては、医者の言われるがままの治療を受けることと根本的には変らない。 しかし最低限思うのは、検査とかで「あんたは○○の数値が悪いね~。この際徹底的に治しておいた方がいいね~」などと医師に指摘され、自覚症状もないのによくわからん検査やムダに高いクスリを処方されたときは、かなり注意した方がよさそうだ。 そうは言っても医者ってなんだかんだ言って恐い。患者が症状について説明するときにうっかり「○○症じゃないかと思うんですがー」などと具体的な病名を挙げようものなら、「シロートが生半可な知識で勝手な判断すんぢゃねー!!」と逆ギレするし、普段からセンセセンセと崇められてるから常に態度が上からである。それにわれわれが接する医師に悪意があるわけでなく、悪いのは学会、厚生労働省、製薬会社である。ほとんどの医師は恐らく患者のために必死でやってくれているのであろう。 近藤本に対する反論を見た上で判断したいところであるが、検索してみてもあまりこれと言ったものが見当たらない。興味ある方は「近藤誠 反論」で検索すると個人ブログ等でいくつかあるようなので、そちらで検証されたい。決定版的な反論はないが、逆に近藤本をトンデモ扱いしたり、人格攻撃するなどの卑劣なものも見当たらないので、医学界からは単純に影響なしとのことで「無視」されているのであろうか? 反論ではなく「異論」になるかも知れないが、がん治療を含む医療のあり方について疑問を呈する書として、著名なコミックの下記を紹介しておきたい。主人公の暑苦しさに辟易するが、それをガマンすれば非常に勉強になり、医療の在り方や生命の尊厳について考えさせられる佳作である。 『ブラックジャックによろしく/1巻-13巻』佐藤秀峰 一応購入サイトにリンクしたが、この作品は著者が二次利用を含めて著作権のフリー化を宣言しており、全巻無料で電子書籍版をダウンロードすることができる。ぜひ検索して読んでいただきたい。近藤本と併せて読むと理解が深まると思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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