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秋月春風  ブログ版

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2006年03月11日
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カテゴリ:Doll
 本館サイトからこちらをご訪問下さった方、逆に、こちらから本館を覗いてくださった方はご存知のことだが、Annette Himstedt さんというドイツ人人形作家の作品に私が心を奪われてから、三年程経つ。
 
 私がDollに興味を持った理由や、AnnetteさんのDollをお迎え(購入することを、人形仲間の間ではこう表現する)するに至った経緯は本館サイトに掲載してあるので省略するが、このHimstedt Doll、毎年この時期に、その年の新作が発表されている。
 今年も一月の中旬あたりから、公式HPや海外のドールショップのHPに画像がアップされだした。今年は「アトランティスの婚約式」というテーマが掲げられていて、美しく愛らしい少年少女達を模した人形達は、婚約したアトランティスの王子と王女、そのお祝いに駆けつけた友人達・・・という設定でデザインされている。
 
 私は既にお迎え済みの我が家のHimstedt Dollにふりひらな衣装ばかり着せているので(他の方は、割とカジュアルな格好をさせていることが多い)、チュールやオーガンジーを多用した衣装を着た今回の子供達を見て、私がお迎え候補に悩みまくるであろうと予想した友人知人も少なくない。確かに、今年の衣装は非常に私の好みであったけ。しかしながら肝心なDoll自体のお顔については、少しずつアップされるどの子供達の画像を見ても、これまでにお迎えしてきた娘達の時ほど心ときめく子は居なかった。
 去年お迎えした子の資金繰りに当たっては、結構無理をして工面したこともあり、今年はお迎えすることなく終わったとしても、それはそれでお財布的には助かるし・・・等と、「私はこの子」「私はあの子」と盛り上がる仲間達を羨ましく思いつつも、傍観する態勢に入りかけていた。
 ところが。
 最後の最後でアップされた数名の画像の中に独り、私の心を鷲づかみする子が現れたのである。

 Taminaという商名を与えられたその少女は、美しい金髪と青い目をしていて、賢そうに秀でた額と大きすぎずおちょぼすぎない唇を持っていた。
 しかし何よりも気になったのはその表情。
 何せ、テーマは婚約式である。王子王女はもとより、参列者たる多数のDollたちの殆どが笑顔に作られているのに対し、Taminaはあまりにも無表情だった。同じモールド(顔型)のRinikiという少女は微かに微笑みを浮かべているように感じるのに、Taminaはひどく物憂げに見え、哀しげでさえあった。
 あまりにも何かを思い詰めたようなその表情に、私は是非とも彼女を手元に呼び寄せて、力一杯抱きしめてあげたいという衝動に駆られた。その日のうちに・・・とはさすがにいかなかったけれど(何せ資金が・・・)、何日か悩んだ末、昨年の子をお迎えしたドイツのショップの店主宛にメールを送った。前回の購入時の対応が非常に丁寧であったので、今回もお願いしようと考えたわけだが、予約金も要らなければ、商品発送前であれば他の在庫と交換可能という、恐ろしく好条件で仮予約が成立したのである。
 これが2月上旬のこと。
 そして先日、ショップからメールが届き、私の為のDollを無事確保したとの連絡が入った。正式に予約確定である。
 
 先週は、Himstedt女史の公式サイトからカタログが送られてきた。
 このカタログ、公式サイトのメールフォームで申し込めば、世界中何処でも無料で送付してくれるのだが、これが無料でいいのかとこちらが心配になるほど豪華で丁寧なつくりなのである。
 早速Taminaのどアップが載っているページを開き、しげしげと眺め・・・そして私は、彼女が哀しげに見える理由を一つ、見つけた気がした。
 今年の子は顔にゴールドを使ったメイクが施されており、特に眉・アイライン・唇に、ドットが散らしてある。散らし方はDollにより様々で、Taminaの場合アイラインのドットに関しては、下側の丁度中央に、ぽつんと一つ置かれていた。
 これが、何となく涙を連想させる影を作っていたのだ。
 
 顔写真を眺めながら、私の脳裏には様々な想像(というか、妄想?)が駆けめぐっていた。
 もしかしたら、Taminaは王子様が好きだったのかな。
 本当は、お祝いする側ではなくて、お祝いされる側になりたかったのかな。
 なのに、実はTaminaはMera姫の一番のお気に入りの侍女かなんかで、会場作りを仕切ったりしなきゃいけない立場で・・・一生懸命準備をしているけれど、本当は独りきりになって思いっきり泣きたいのかな・・・・・・?
 
 そう・・・その心は、まるで人魚姫のよう。

 彼女は今、泡になって消えることができた方が幸せだ・・・そんなことを考えながら、懸命に哀しみに耐えているのかもしれない。

 そんなことを考えて、私はやっぱりこの子をお迎えしようと改めて決心した。
 じつは、どことなく我が家の既存の子の一人に似た雰囲気を持っているので、懐事情も鑑みて予約取り消しを考えることもあったのだ。
 だけど・・・やっぱりダメだ。この子はやっぱり手元に置きたい。
 抱きしめて、思い切りいい子いい子してあげたい。
 そして・・・いつか、Annetteさんが生み出す数少ない少年タイプのDollのなかで、これぞという子が発表された暁には、是非とも婿に迎えてあげるのだ。
 その時・・・きっと彼女の表情は、微笑みをたたえたものに変わるに違いない(いや、ほんと、一緒に暮らしていると表情って変わって見えることがあるのですよ)。 
 
 そんなこんなで、お迎えする前からどっぷり親馬鹿モードに浸かりつつ、大好きなお洋服や、可愛い小物に、必要以上に手を出しそうになるのを必死で堪えながら、Taminaお迎え資金の貯金に励む今日この頃の私であった。


 Himdtedt女史の公式サイトのアドレスはこちら。
 グラスアイや人毛を使用した、非常にリアルなDollですので、人形が苦手という方はクリックしないことをお勧めします。
 http://www.annettehimstedt.com/

 
 ☆追 記☆
 この日記の下書きを書いた後で・・・残念ながら、私が涙と感じたゴールドのドットメイクについては、多数のファンの要望により全てのドールについて用いられないことになったという情報を得た。
 これにより、少し表情からうける印象に変化が生じるかもしれないが・・・しかしあの、Taminaのはるか遠くを見つめる眼差しから、私が惹かれて止まない憂いや哀しみのイメージが、完全に払拭されることはないと信じている。



 





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最終更新日  2006年03月12日 01時34分39秒
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