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カテゴリ:読書(含:漫画)
山田睦月さんの新作。 ネット書店での読者評価が今一つだったので、読む前はちょっと不安があったのだが、個人的には結構笑えたし泣けたし、良い作品だったなと思う。菅野彰さんという方が原作を担当していて、この著者はBL(ボーイズラブ)系の作品を発表しているそうだから、そういった内容を期待して購入した人には、肩すかしくらったような感じがしたのかもしれない。 内容は、ラブまで行かないが主人公は男性2人で、一言で言ってしまえば「男の友情物語」。 最初は割合にスピード感のあるドタバタコメディにサスペンスの要素が絡んだようなストーリー展開だったけれど、1巻の後半で主人公の一人が背負っている、あまりにも辛い過去が明らかになったところで、とにかく読んでいて切なくて切なくてたまらなくなる。ラストについては手放しのハッピーエンド・・・とはいかなかったけれど、決して心が鬱いだり二度と読みたくないと思うような結末ではなかった。むしろ爽やかさが漂っていたと思う。うーんと、そうだな、早春の日だまりの様な感じ。日差しは暖かいのだけれど、吹く風の冷たさに、時々はっとするような。 表題作も、2巻に収録されている番外編も、主人公の2人と、そのうち一人の妻との3人のどこかしらに感情に移入出来る要素が私にはあって、そのどれもが切なかったり苦しかったり、負い目だったり・・・という割合にマイナスな感情が多かったから、本を閉じた後もしばらくはぼんやりとその世界に浸って考え込んでしまった。 オリジナルにしても原作ものにしても、山田睦月さんの描く世界は、生きていくことの辛さと厳しさと・・・でもそれ以上に、それを背負って生き抜くことが大事なのだと、どんな人生もすべからく素晴らしいものなのだと、そんなメッセージで満ちているように感じる。 シリアスものでもどこか深刻になりきれない部分があって、そんなギャグシーンはこちらを多いに笑わせてくれるので好きだ。 このところ原作ものが続いているようだけれど、初期の頃のオリジナルの作品のようなものも、また読んでみたいなものだなーと思う。 引き続き一読者として応援していきたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年06月18日 20時05分20秒
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