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カテゴリ:日常雑記
猫は生きている ずっと、買おうかどうか迷っていて、買えない本がある。 早乙女勝元「猫は生きている」 小学2年生のとき、この絵本を人形アニメーションにした映画を観た。 戦時下、出征した父親の留守を守る母、息子と娘と乳飲み子。その家族と、猫の家族との微笑ましい交流。 それを打ち砕く、東京大空襲という悲劇。 娘は焼夷弾の直撃を受けて燃え上がり、息子は母親とはぐれた後、猫達を逃がして力尽き、熱湯と化した川に沈んだ。 母親は赤ん坊だけでも助けようと、迫り来る炎の壁を背に熱く灼けた土を掘って子を横たえ、自分の身を蓋にして庇おうとする。 翌朝……猫達だけが生き残り、炭の塊となった母親と赤ん坊の姿を見つけるのだ。 ……その内容は、8歳になる直前だった私にはあまにも衝撃すぎて。 哀しいとか可哀想等と思う余裕はなく、目の前で繰り広げられる惨劇に、ただただ恐怖し、嘔吐を堪えるのが精一杯だった。 数年前、本屋で絵本を見かけた。 身体がガタガタと震えてきて、手に取ることもできなかった。 次にその本屋に行ったとき、思い切って開いてみた。 映画では描かれていなかった、母親が最後に見た夢の光景に、涙がこぼれた。 でも……やはり、購入する勇気はなかった。 次に行ったとき、その本は無くなっていた。 ほっとした……が、それからずっと、ふとした瞬間に思い出すようになった。 子供の時は、自分が同じ目に遭って死ぬことが怖かった。 今は母親の視点で読んでしまうから……怖い以上に、辛い。 あんまり辛くて苦しくなるので…そしてつい、我が子達をこんな悲劇が襲ったら……等とうっかり想像してしまったりするので、余計手元に置く勇気が出ない。 でも、子供達に戦争の事も教えたい。知って貰いたい。 なんの罪もなく、親や子を失い、生きながら焼かれていった人達が大勢いたことを、伝えたい。 今年度、長男が「ちいちゃんのかげおくり」を習った。このタイミングでの購入は、かなりベストなんじゃないかと思いつつ……やっぱり、怖くて。 怖くて、怖くて、怖くて。 今日もまた、購入ボタンを押せないまま、プラウザを閉じる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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