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テーマ:好きなクラシック(2316)
カテゴリ:R.シュトラウス
一切の切なる願いを 星のきらめく夜が やさしく受け入れて欲しいものだ 疲れた子供を抱きとるように 手よ 一切の行為をやめるがよい 額よ 一切の思考を忘れるがよい いま 私の感覚のすべては ひたすら眠りに沈みたがっている そして 魂は誰にも見張られることなく 自由な翼を張って漂おうとしている 夜の魔術的な世界の中で 深く 千倍にも生きるために (ヘルマン・ヘッセ) 今夜,何気なくかけたリヒャルト・シュトラウスの『四つの最後の歌』からその3曲目, 「眠りにつこうとして」 久しぶりにこの曲の甘美なヴァイオリン・ソロが僕の耳に聞こえたとき,僕は文字通り思考が止まり,身体が蝋のようにかたまって動けなくなってしまった。 最近では滅多にないことだ。 昔はそんなことがよくあった。 僕にはそんな「傾向」・・・つまり,ジョルジュ・バタイユみたく哲学的で芸術的で霊感的な人とはちょっと「違う」感覚が,(恥ずかしながらもおこがましいことながら)生まれつきあるんだと思っていたが,最近では「さあ,そんなものもあったかもしれないねー」と,普通に一般社会に出て一人の大人として生活している(つもりだ)。 でも,ときどき,年に何回か,僕の生きる道は「こっち」ではなく,「あっち」だったんじゃないか,と思うことがある。 しかし,そんなことを考えはすぐに吹き飛んでしまう。 なにを今さら迷うことがあろう, なんだかんだ言っても,僕は,「こっち」を選んだのだ。 僕は「こっち」でたくさんのよい人たちに知り合い,僕はその人たちのことを尊敬しているし,その人たちの不器用だけど真面目で誠実な姿が好きだ。 僕はその人たちと一緒にいることに誇りを感じてるし,僕はこれからその人たちを守っていかなければならないと思う。 でも,そんな「こっち」の世界にいながらにして,こうしてたまにこんな美しい音楽を聴きながら,「あっち」の世界に想いをはせることもできる。 いろいろ世知辛い世の中だけど,そういうことって,きっと幸せなのだろう。 今日は朝早くから夜遅くまでよく働いた,「こっち」の世界の僕のヨメさんに「あっち」の世界から「お疲れ様」ということで,この曲を流してあげたいと思います。 でも東京と九州じゃそれもかないませんが。 (でもたとえ子守唄に流したとしても5秒で爆睡してしまうだろうが・・・) おやすみなさい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年02月21日 01時43分19秒
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