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テーマ:好きなクラシック(2324)
カテゴリ:ショパン
前へ進めない。 前へ進ませてくれない、 立ちふさがる見えない壁。 ショパンもまた、 たくさんの「行き止まり」や「壁」を見た人だと思う。 なぜなら、ショパンの音楽はどこへも行かない。 ただそこにある感情。 そこにあるのはただひとつの感情だけ。 ジュリーニの指揮は、確かに遅いかもしれない。 でも、この協奏曲をこのテンポで覚えてしまった僕にとっては、 このテンポより早い演奏ではこの叙情的協奏曲は聴けない。 若きツィーマーマンのピアノには 青白い炎の灯を感じるし、 何よりショパンらしい素直さがある。 このCDは、僕が学生時代に中古屋で出会って以来、もう10年の付き合いになる。 今夜、 妻が寝たあとに、 ひとりヘッドホンを取り出してこのCDを聴いている。 ツィマーマンのピアノに学生時代の自分を重ね合わせながら。 そういえば、 あのころも、 たくさんの「行き止まり」や「壁」があったっけ。 何度も何度も「これで終わりだ」「ここまでだ」と呟いていたっけ。 でも、今こうしてなんとか生きている。 そう思えば、なんだか勇気がわいてきたぞ。 きっと、今のそれも、乗り越えることができるはず。 第3楽章のロンドは、そう囁いている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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