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2007年01月16日
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カテゴリ:ブルックナー
 ブルックナーの最後の交響曲、

 交響曲第9番二短調

 は、第3楽章のアダージョまでしかない。

 つまり、この交響曲はフィナーレとなるべき第4楽章を欠いた

 「未完成交響曲」

 なのだ。シューベルトのロ短調交響曲と同じように。

 しかしながら、「未完成」であることと「不完全」であることは

 同義ではない。

 これもシューベルトの場合と同様である。

 それどころか、交響曲の天才の絶筆として、

 他の交響曲にはない、冒しがたい神聖な魅力を備えている。


 頭部と両腕を欠いた「サモトラケのニケ」や、

 同じく両腕を失ったままの「ミロのヴィーナス」のような、

 交響曲の「トルソー」として。


 それにしても、巨大な「トルソー」である。

 第1楽章だけでも25分はかかる代物だし、

 第2楽章のスケルツォは11分、

 第3楽章のアダージョは26分強。

 ブラームスがブルックナーを「交響曲の大蛇」と評した言葉を思い出す。


 この交響曲の特徴をひとことで言うと、

 「とても息が長い」。

 僕が今日このバーンスタイン盤を選んだのは、その特徴が最大限に活かされている録音だから。

 第2楽章のおそ~いスケルツォの、東洋の宗教行事のような響きが気に入っている。

 (このリズムで「南無妙法蓮華経」「南無妙法蓮華経」と歌える。)

 テンポの遅さでは定評のあるジュリーニでさえ、この楽章を10分39秒で演奏しているのに、

 バーンスタインはなんと12分14秒!

 第1楽章の活火山の噴火と天上の分厚い雲の流れの交錯も、

 バーンスタインという巨大な指揮者のもつ「音楽の呼吸の大きさ」を見せ付けてくれる。

 極めつけは第3楽章のアダージョ。

 僕は幼いころ、底なしの宇宙に一人でのみ込まれてしまう夢を見たことがあって、

 その「体験」はずっと体の中に残るくらい、強烈なものだったけど

 (今でもその感覚を思い出すことができる)、

 この楽章で何度も繰り返される全オーケストラの「咆哮」は

 その「体験」に似た、「圧倒的な力」を感じることを禁じえない。

 まるで神が目の前に突然現れたような、

 いや、天上の神々を地上に呼んでしまうような、「この世ならぬ力」がこの「咆哮」の音楽にはあるような気がしてならない。

 この交響曲にフィナーレとなる第4楽章は必要ない。

 なぜなら、作曲者は、このアダージョの末尾に自作の第7交響曲と第8交響曲を引用し、この音楽が自らの「辞世の句」であることを示して、筆を置いているのだから。
 

 バーンスタインは、ブルックナーの交響曲を2度録音しているが、

 どちらもこの第9番である。

 「ウエスト・サイド・ストーリー」の作曲者であり元祖・マーラーのスペシャリストであった彼にとって、この交響曲は何か特別な存在だったようである。

 今となっては、その理由など知る由もないのだけれど。


 ちなみに、僕はブラームスのCDよりも多くの数のブルックナーの録音を所持している。
 それは、ブルックナーの方がブラームスのそれよりも倍以上の数の交響曲を遺したことと、そしてそれらがいずれも倍以上の演奏時間がかかることを差し引いても、決して少なくない種類を購入してしまっているようだ。
 もしかしたら、ブラームス以上。ブルックナーは、僕にとってそんな音楽なのだ。

 





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Last updated  2007年01月16日 22時22分10秒
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