519057 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

ブラームスはお好き?

ブラームスはお好き?

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

ブラームスがお好き

ブラームスがお好き

Freepage List

Category

Comments

名字だけ同じ秀島@ Re:アームストロング砲(02/21) 文中に薩長土肥の「肥」が肥後の佐賀藩と…
Motoji@ Re:ロンドン・オリンピックだからという訳ではないけれど・・・(08/04) 東大寺の戒壇院の四天王像 写真お借りし…
PreaskWisfake@ ,チャンル メンズ,バッグ 人ブランド わに)にでも食はしてしまふが好い。」  …
ボッテガヴェネタ@ yssikrhkpdv@gmail.com お世話になります。とても良い記事ですね…

Favorite Blog

ご報告 turbo717さん

アジア時間 ジャスミン25さん
クラシック音楽は素… 会長0804さん
日日是好日 mind_326さん
ひよっこ血液内科医… アナカプリの丘さん

Headline News

2007年01月19日
XML
カテゴリ:ブルックナー
 「夢の中で神から授かった旋律」

 ブルックナーは、第1楽章の第1主題について、こう周囲に説明した。

 その夢の中で神は、

 「この旋律はお前に成功と栄誉をもたらすであろう」

 とも言ったという。


 ことの真偽はともかく、

 この第7交響曲の第1主題は「神の旋律」と呼ぶに相応しい

 神々しい美しさを放っている。

 それは、

 若く女性的なたおやかさを持つ同時に、年老いた男性的な落ち着きを兼ね備え、

 世俗的な歌謡性と自由さと同時に、宗教的な節度を保っている。


 曲は「ブルックナーの原始霧」から立ち登る「神の主題」で始まる。

 それが繰り返し繰り返し何度となく展開されながら、曲は厳粛に進んでいく。

 あるときは毅然として、またあるときは途方にくれて。

 あるときは祝福し、またあるときは愛撫するかのように。
 
 横に流れる弦と、真っすぐに立ち上がる金管によって、かたち造られる巨大な十字架。

 コーダを控えたクライマックスでは、

 地平線からやってくるかのように息の長いティンパニーのクレッシェンドに支えられて、

 この「神の主題」が

 高らかに歌い上げれられる。

 眼がくらむほどにまばゆく輝かしい金色の音楽である。


 第2楽章は「ワグナーのための葬送行進曲」と言われることが多いが、

 この叙情的で完全無欠の緩徐楽章にはいかなる標題も無用である。

 完璧なまでに美しい対比のA-B-A’-B’-A”形式を持つ。

 ワグナーの死がもたらした深い哀しみが込められていることは明らかだが、

 それを「ワグナー的なるもの」としてとらえる必要はないだろう。

 むしろ、鑑賞の邪魔ですらあると思う。

 最後のA”のクライマックスにティンパニー・トライアングル・シンバルの3パーカッション群を入れるかどうかの問題があるが、

 僕は「3パーカッション群入り」を採る。

 オリジナル主義者(←もはや「死語」かもしれないが)に言いたい。

 原典を突き詰めるのも結構だが、聴いて感動できないようなら意味がない。

 「スイングがなければ意味がない(村上春樹)」のだ。

 
 第3楽章のスケルツォは農民の祭りだそうだが、

 僕は高校生のころ、一時期この旋律が一ヶ月くらいずーっと頭のなかで

 憑かれたように鳴り響き続けていたことがある。

 いつでもそれを譜面に書き写してピアノで弾けるほどに。

 それが弟が持っていたブルックナーの第7交響曲の第3楽章の旋律だと気付くまでは。

 そのCDが、この僕が生まれる10年前に、オイゲン・ヨッフムがベルリン・フィルを指揮したもの。

 そしてその兄が弟に駄々をこねて譲り受けたCDは、

 聴き続けてもう15年になるが、いまだに僕のブルックナー体験の原点として、

 他者とは比べようのない別格の「心の友」となっている。


 第4楽章について、ダニエル・バレンボイムは「短すぎる」と言ったが、

 確かに、大規模の前3楽章を受け切るには、このフィナーレは短すぎる。

 しかし、決して弱いわけではなく、

 洒脱にあふれ、不安定ながらも非常に充実しており、

 こう言っては語弊があるが、

 ブルックナーのフィナーレに時折見られる偉大なる退屈さ・・・

 に陥ることから免れている。

 が、この「短すぎる」フィナーレ楽章でこの交響曲をどのようにまとめ上げきれるか、

 というところに指揮者とオーケストラの力量が問われるところでもあるのだが、

 僕は、このヨッフム=ベルリン・フィル盤の

 コーダの金管のリズム感・・・と言うより「呼吸感」と呼ぶべき

 ネイティヴ特有のイントネーションがとても気に入っていて、

 聴くたびに「ああ」とか「おお」とか心の中で叫んだりため息をついたりしている。

 よい曲です。

 

*ちなみに、「神の主題」というのはワタクシ「ブラームスがお好き」の造語というか、勝手な呼び方です。あしからず。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007年01月19日 22時38分25秒
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X