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カテゴリ:ショスタコーヴィチ
と友人から妻が受け取ってきたのは、 『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』というドキュメンタリー映画のチラシだった。 僕はそれを受け取る前に彼の訃報に接していたので、 「祭典」という言葉に抵抗を感じた。 皮肉なタイミングだ。 彼の波乱の人生の軌跡をたどる映画が、訃報と時を同じくして封切りとなるなんて。 僕は、彼にショスタコーヴィチを教えてもらった。 それがこのジャケット写真の交響曲第5番。 当時高校生だった僕は、荒武者のように両手を振り上げた老指揮者が「気迫」でオーケストラを統率している様子に、純粋に「カッコイイ!」としびれたものだ。 ワシントン・ナショナル響の鳴りっぷりは無骨で荒いけど、 それがストレートに聴き手の心を鷲づかみにする。 この重々しさ、一つ一つのフレーズの意味深さ、 ショスタコーヴィチと同時代に生きた彼ならではのものだろう。 ソヴィエトという悲しくも残酷な国家が、かつてこの地上に存在していたのだ。 今日改めて聴きなおしてみても、1982年の録音から四半世紀たった今でも そのパワーは決して衰えていない。 近年、彼ほど「情熱」という言葉の似合う音楽家がいたであろうか? わたしたちはまた、大切な人を失ってしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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