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テーマ:好きなクラシック(2328)
カテゴリ:チャイコフスキー
ベタベタにベタな曲を恥ずかしげもなく聴く、 というのもクラシックの密かな楽しみである。 ベートーヴェンの第5交響曲と同じくらい 暑苦しいくらい『ベタ』な存在なのが、 チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番なのだが、 このアルゲリッチの録音は、 その『ベタ』さを忘れさせてくれるほど、 スリリングである。 コンドラシン=バイエルン放送交響楽団はよくまあこの奔放なピアノに 合わせきれるなあ、 と素人ながらに感心してしまう。 それもただ単にスリリングに楽しんでいるわけじゃなくて、 音楽的『奥ゆかしさ』を醸し出しているあたりは やはりプロの技である。 このライヴ録音に匹敵するのは、最近では グリモー&ザンデルリンクのブラームス,ピアノ協奏曲第1番 くらいではないだろうか。 丁々発止の稀有な音楽の記録である。 特に3楽章。 これで最後まで持つの? と心配してしまうほどの「つんのめり」的ハイテンポ。 ピアニストも凄いけど、それに合わせるオーケストラも凄い。 後年のアバド=ベルリン・フィルとの同曲録音は、 確かに優れた演奏だけど、 どことなくこの「コンドラシンのとのライヴ録音」 の焼き直し的「安全運転」みたいな 雰囲気があって、いまいち「乗れない」かんじ。 いわゆる教科書的『ベタな名曲』が、 このような教科書的でない名演奏によって その名曲たる所以がはじめてわかる、 というのも、ちょっとした皮肉である。 「この曲って、こんなにいい曲だったっけ?」 という気付き。 聴くたびの新たな発見、これこそが、 クラシック音楽を聴く楽しみである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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