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2007年08月24日
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カテゴリ:チャイコフスキー
 定番中の定番というか、

 ベタベタにベタな曲を恥ずかしげもなく聴く、

 というのもクラシックの密かな楽しみである。

 ベートーヴェンの第5交響曲と同じくらい

 暑苦しいくらい『ベタ』な存在なのが、

 チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番なのだが、

 このアルゲリッチの録音は、

 その『ベタ』さを忘れさせてくれるほど、

 スリリングである。

 コンドラシン=バイエルン放送交響楽団はよくまあこの奔放なピアノに

 合わせきれるなあ、

 と素人ながらに感心してしまう。

 それもただ単にスリリングに楽しんでいるわけじゃなくて、

 音楽的『奥ゆかしさ』を醸し出しているあたりは

 やはりプロの技である。

 このライヴ録音に匹敵するのは、最近では

 グリモー&ザンデルリンクのブラームス,ピアノ協奏曲第1番

 くらいではないだろうか。 

 丁々発止の稀有な音楽の記録である。

 特に3楽章。

 これで最後まで持つの?

 と心配してしまうほどの「つんのめり」的ハイテンポ。

 ピアニストも凄いけど、それに合わせるオーケストラも凄い。


 後年のアバド=ベルリン・フィルとの同曲録音は、

 確かに優れた演奏だけど、

 どことなくこの「コンドラシンのとのライヴ録音」

 の焼き直し的「安全運転」みたいな

 雰囲気があって、いまいち「乗れない」かんじ。


 いわゆる教科書的『ベタな名曲』が、

 このような教科書的でない名演奏によって

 その名曲たる所以がはじめてわかる、

 というのも、ちょっとした皮肉である。


 「この曲って、こんなにいい曲だったっけ?」

 という気付き。

 聴くたびの新たな発見、これこそが、

 クラシック音楽を聴く楽しみである。

 





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Last updated  2007年08月24日 23時58分40秒
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