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テーマ:今日聴いた音楽(75648)
カテゴリ:マーラー
11月6日、彩の国さいたま芸術劇場。
アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルによる、 「ドライアップシート」(3つの別れ) http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/d1106.html を観てきた。 『3Abschied』 3つの別れ。 マーラー最後の交響曲「大地の歌」の最終楽章、 「告別」の3つのバリエーション。 アンヌは、ダンサーとしてこの曲を表現しようとする。 ダニエル・バレンボイムは、彼女の企画を聞いたとき、こう言ったそうだ。 「やれやれ、ダンサーはいつもこれだ。 あなたが躍るべき音楽は、あなたが躍るために書かれた音楽は、たくさんある。 しかも、まだまだ多くのものが、抽斗の中に眠っている。 でももし、あなたが躍るにふさわしくなく、あなたが躍ってはならない音楽が あるとしたら、それは、マーラーの「告別」だ。」 と。 それでも、彼女は果敢にも挑戦した。 はじめに、彼女は、ブルーノ・ワルターが指揮し、キャスリン・フェリアーが歌うウィーン・フィルの「告別」の録音を流し、その音楽を聴くということを、観客と共有した。 次に、彼女は、シェーンベルクが室内楽版に編曲した「告別」を演奏する15人の音楽家たち(13人の演奏家と、指揮者、ソプラノを合わせた15人)の「中に入って」この音楽に対する共感を表現した。 最後に、彼女は、ピアノの伴奏に合せて、自ら歌い、躍り、「告別」という音楽と同化しようとした。 彼女はもちろん声楽家ではないので、その声量は小さく、か細いものだったが、それがかえって、切実で、リアルで、純粋で、美しいものとなった。 公演終了後、 観客からの質問に答える時間が設けられた。 印象に残った質問と、アンヌの回答がひとつ。 問「あなたは、(演奏者が去った後の)椅子の周りで躍り、その前には、演奏者の傍で躍ったりしていましたが、あなたにとって、椅子や奏者はどのような存在だったのですか?」 答(唇を意地悪そうに曲げて) 「チェアー・イズ・チェアー。 ミュージシャン・イズ・ミュージシャン。(笑)」 (真面目な顔に戻って、補足するように) 「私とこの場を共有した存在。」 ダニエル・バレンボイムの予言は、 半分は確かに当を得ていたものだったが、 残りの半分は、完全に間違っていた。 この曲は、ふつう考えられているよりも、 ドラマティックかつロマティックで、 静謐で瞑想的な、 祈りにも似た音楽であり、 もっとたくさんの人々に大切にされるべき、 大きな存在だと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010年11月07日 22時13分51秒
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