月夜に夢を　　

どんなに心配をしてみたところで　学校なり　施設なり
自分の目の届かないところにいる娘の状況などコントロールできるものではない。
誰かに預ける　任せる　ということはそういうことだ。

それでもどんなふうに過ごしているのか知りたくて
笑顔でいるのか知りたくて
学校から配られる学級通信も　施設から出される学園通信も　毎号楽しみにしている。
たとえ一言でも娘について触れられている箇所があれば　何度もそこを読み返す。


その学園通信の今号　園長が書く記事に
保護者からの手紙に励まされたという内容があった。
それは　激励の文言を並べたものとは程遠く
我が子への愛情と　親として人間としての自覚と　
そしてとてもさりげない感謝とが　淡々と書かれたものだった。


ああ　そうなのだ。
やはりひとは　情によって動かされるのだ　と気付かされる。


どんなに法律が現状から乖離したところで成立してみせても
どんなに行政が杓子定規な対応しかとれなくても
そしてまた
どんなに企業が効率を追い求め　福祉の分野でさえそれにならったとしても


最終的に頼るべくは　
あのひとのそのひとの　すべてのひとのもつ　情　である。

忘れてはならない。