月夜に夢を　　

かつて　あたしの誕生日にこれだけ頭を悩ませたことがあって？
というぐらい　コイビトがあれこれ悩んでいる。

離れて暮らしている娘への誕生日プレゼントを　どうしようかと思案中なのだ。
年頃の女の子の欲しいものなんぞわからん　といういつもの悩みに加わって
今回は　元妻（つまり彼女のお母さん）とその再婚相手から何をもらったのか、という情報を
どうやら入手してしまったらしいのだ。

高額だけど実用的な　その品物に対抗するために
あえてお金をかけずに　でも気持ちが伝わるものを贈りたい、という。

じゃあ　それを入れるケースでも贈ったら？って言ったら
そんなの　みじめ過ぎるよ、としょぼくれる。

そもそもプレゼントなんて　張り合うものでもないし
だいたい誕生日プレゼントで父親の気持ちにじーんと感動するなんてこと
年頃の娘においては　まったくないと思うけどね、という言葉は胸のうちにしまい
あれこれ思いつくものをあげてみるが　どうやら気に入らないらしい。

「詩でも書いたらどう？」
っていう究極のあたしのアドバイスすら　軽く却下されてしまった。

・・・あんた相談しといて　なによ。


父が娘を想う気持ちは　もしかすると　恋人を想う気持ち以上なのかも。
その情熱のちょぴっとでもいいから　あたしへのプレゼントにも傾けてごらんよ。