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月夜に夢を  

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2009.09.13
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カテゴリ:Life
父が金融機関に勤めていたおかげで あたしはずっと転校生生活だった。
履歴書を書けば 入学と卒業ですべて学校名が違う。
それぞれの地に思い出があり 自分の生い立ちと重なり
だから「出身地」とか「故郷」とか そういったものを尋ねられても困惑するのだ。

それでも「幼なじみ」と呼べる存在があたしにあるとすれば
小学校の後半をともに過ごした彼女たちだろうか。
そこは学校から遠く離れた団地で 遊ぶ相手が限られたせいか
放課後も休日も いつも同じメンバーで濃密な時間を過ごした。
今思えば ずらっと並んだあの建売住宅を購入し移って来た親たちもきっと
同じような生活レベルであったと思うし そういった意味でも
ベースが共有され 関係が確立しやすかったに違いない。

その団地の子供であるということは 半強制的に
万年弱小チームのソフトボール(少年野球の少女版)のメンバーでもあるということで
毎週日曜日には朝から団地の遊水地でドロだらけになっていた。
運動音痴のあたしは この練習が非常に嫌いだったのだが
守備はともかくバッティングでは4番を任され 逃げるわけにはいかなかった。
なんせ絶対数が足りなかったのだ。
あたしたちはきっとあの頃 それぞれに何かを学んだはずだ。

中学にあがるときに遠くの地へ移ったあたしを除く3人の仲間は
まだ実家がそこにあるために ときどき顔を合わせていたりもしていたらしいのだが
あたしはすっかり年賀状だけの付き合いになっていた。
それがふとしたきっかけで昨年 その中のひとりと久しぶりに会い
そして今日 幼ない子供連れのもうひとりも交えて代々木公園へ。

身軽でショートやセカンドだった彼女は 
可愛い盛りの2歳になろうかという男の子の母となり
相変わらずの細い身体で ひょいと子供を抱きかかえる。
高校の同級生だったひとと結婚したのだそうだが 長男だというので
じゃあゆくゆくは同居?と訊くと まったく考えたこともなかったという
相変わらずの のんびりさばさば天然っぷり。

サードを守っていた彼女はといえば 都会のOL独り暮らしを全うしていて
さすがにお店にも詳しく(おかげで美味しいランチにありつけたのだが)
最近親からのプレッシャーが激しすぎて 実家に行くたびに喧嘩だと嘆いていた。
だってその程度のひとと見合いしてもね、というので 
じゃあ結婚はしなくてもいいと思っているのかと尋ねると 
それはそれで諦められない、とこれまた相も変わらずの優柔不断っぷり。

足が遅くてファーストだったあたしだって
子育てがもうすぐ終わりそうな年齢となってもなお やはり何も変わらないのだろう。

どんな道をたどろうとも 経験を積もうとも
性格なんてものは小学校時代と比べてそうそう変質するものでもない。
だからこそ こんなに時をおいてまた顔を合わせても 安心して心を開いて
まるで昨日ランドセルを置いて遊んだ続きのように いろんな話をして
また明日会えるかのように 別れていく。

友人とはいっても お互いに何かあっても 助け合えるような距離感にはない。
たとえ失っても 自分たちのいまの生活になんら影響を与えないつながり。
こうした遠くゆるやかな人間関係を 果たしてなんのために保とうとするのだろう。


セカンドとピッチャー兼務の運動神経抜群だったクールなもうひとりの仲間は
関西へ嫁に行ったきり 誰も消息を知らない。
会ってどうするというわけでもないのに やはり遠く彼女の幸せを願い
いつか会えたらと思う。





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Last updated  2009.09.23 09:47:11
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