スイカにメロン。
来客用に、朝食用にと、安価な上に大人数をまかなえて、なにかと大活躍するトルコの真夏の味覚。
我が家でもなるべく常備するよう心掛けているのだが、8月も半ばに入り、とっくに飽きてしまったのも事実である。
前回の夫の滞在中、9kgの大玉スイカを気前よく買ってしまったが、夫が日本へ発つと丸々半分が残ってしまい、娘たちにしても私にしても、いまや見るのも億劫という有様。
結局、外側から腐りだし、義妹にでも見つからないうちにと、こっそりゴミ箱に捨てたりして。。。。(これは内緒!)
しかも。かくもスイカやメロンを頻繁に購入すると、もれなくついてくるのは、大量の皮(kabuk/カブック)!
スイカの皮(karpuz kabugu/カルプズ・カブウ)!に、メロンの皮(kavun kabugu/カヴ゙ン・カブウ)!
いざぎよく捨ててゴミ箱をパンパンに膨らませたって構わないのだが、根が貧乏性で、ものを容易に捨てられない私。この皮をなんとかできないものか?と考えたとき、私の頭には即座にあるものが浮かんだ。
私が陰で「貧乏人のジャム」と呼んでいるスイカの皮のジャム(karpuz kabugu receli)がそれである。
トルコ全土で広く作られているかどうか知らないが、野菜と果物の宝庫、地中海沿岸地方では、青イチジクのジャムや乾燥イチジクのジャム、橙の皮のジャムなどと同様、農家や田舎の家庭で昔から作られてきたジャムのひとつになると思う。
とはいえ、私がスイカの皮のジャムを実際にいただいたことがあるのは、ただ一度きり。しかも、ジャムというより「水飴漬け」という方が近い強烈な甘さに辟易して、一口食べたあと、コムシュ(隣人)か誰かに差し上げてしまったため、形、味など、ほとんど覚えていない。
いくつかのレシピに共通するのは、石灰水(生石灰?消石灰?)にいったん漬けて型崩れしないようにすることと、スイカの皮そのものの香りや色がさえないために、着色剤で赤い色をつけたり、カランフィル(丁子、クローブ)で香り付けをしたりすること。
しかし、石灰や着色剤、丁子などは、手に入れるのが面倒な上に、そういうもの自体、私は好きじゃない。
そこで、私風のスイカの皮のジャムを、なるべく手を加えない自然なかたちで作ってみよう、ということになった。
まずは、試作1回目。
レシピでは、砂糖はスイカの皮の重さの1.5~2倍!!(こりゃあ~、甘いはずだ!)
私は、普通の果物のジャムの場合、砂糖は果物の重量の40%を基準にしているので、とりあえず40%でいってみる。
皮は、一番外側の硬い部分だけ剥ぎ、内側の薄い緑色の部分を使う。
皮には、薄っすら赤い実の部分が残っていたが、削り取らないでそのまま使ってみることにした。
切り方は、いくつかのレシピによれば、カボチャのように大きめの角切りにするのが普通のようだが、私は細く4~5mmくらいに刻んでみた。
そして、着色料を使わない代わりに、朝食時に食べて残ったスイカの実を絞ってジュースにし、加えてみることにした。薄っすらピンク色になればいいなあ~と思って。
そして、出来上がったのがこちら。
写真では、シロップがトロッとして結構美味しそうに見えるのだが、実は、皮の内側に残った赤い実の部分が、まるで血のように真っ赤で、ちょっと気味悪い。
酸味のない素材なので、甘みはかなり強く感じられる。しかし、以前食べたスイカの皮のジャムなんて、こんなものじゃなかったし、トルコなんだからこの程度の甘み全然大丈夫と思えば、夫も娘たちも一口食べて「甘すぎ」とのたまった。
試作1回目から2日ほど後、朝食に出した残りの皮で、2度目の試作に挑戦。
前回「甘すぎ」の評価をもらったので、今回は砂糖は30%に抑え、型崩れしないよう厚めに刻み、シロップを少なめにカラッと仕上げようと、ジュースは加えなかった。
で、出来上がったのがこちら。
甘みはちょうどいい感じだが、食感がこう・・・なんというか「瓜の奈良漬」に近くなってきた。同じウリ科なんだから、当たり前なんだが。
スイカの皮はもともと味がないものだし、私としては、どう頑張ってもこの程度と思っていたのだが、先日エダ一家とセラップ一家が泊まっていった際、朝食に出したら、セラップの長女エスマは一口食べて「イ~レ~ンチ!(気持ち悪い、ヤな味)」とほざきやがった
私の作る塩分控えめの食事や糖分控えめのジャムやケーキを大抵は気に入ってくれるセラップまでもが、「スイカの味がしない。どうしてこうなるの?」と驚いている。
私はさすがに内心「ムッ」となったが、他にどんな工夫ができようか。やはり、石灰水に漬けたり、丁子を加えたりしないといけないのだろうか?
こんなことがあってから、3度目の試作には当分乗り切れなさそうな私である。
先日も、イスメットがパザールで買ったスイカの皮が厚みがあって、いかにも「ジャム向き」で、いったん取り置いていたのだが、翌日になっても気力が湧かず、結局捨ててしまった。
そのうち、気を取り直したら、「決定版。スイカの皮ジャム」を発表できるかもしれない。それまで、気長にお待ちください。
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さてさて、一方のメロンの皮はどうなった?
甘く熟れたメロンの皮は、ほとんど使える部分は残ってないものだが、これまたセラップたちが滞在している際、朝食用に切ったメロンの皮が相当厚く、即座に何かに使えないものかと取り置いた。
その時、頭に浮かんだのは、パザールで見かけたこちら。
ケレッキ(kelek)。未熟な赤ちゃんメロンで、トゥルシュ(ピクルス)用である。
青くて硬い赤ちゃんメロンがトゥルシュになるのなら、同様に青くて硬いメロンの皮だって、トゥルシュになるんじゃなかろうか??
セラップに「ケレッキのトゥルシュってどう?美味しいの?」と訊くと、「私は食べたことないけど、美味しいらしいわ」という。
それなら、とにかく一度試してみよう。
セラップのアドバイスで、1.5~2cmくらいと厚めの短冊切りにし、瓶いっぱいに詰めて上からウズム・スィルケスィ(ブドウ酢)を注いだ。セラップが、硬い方がいいから、リモン・トゥズ(レモンなどから抽出した酸を結晶化したもの)を1個ずつ入れなさいとアドバイス。
トゥルシュは普通、何日か室内やバルコンに出しておいて自然発酵を待つようだが、外気温があまりに高く、メロンは腐りやすいかもしれないので、室温で放置せずすぐに冷蔵庫に入れた。
そして、3日経ったのがこちら。本邦初(たぶん)!メロンの皮のピクルス(kavun kabugu tursusu)。
今のところ、時々取り出して味見をしてはいるのだが、酸っぱいだけで、これという特徴がない。リモン・トゥズを入れたせいか、硬いままだし。。。
はっきり言えば、美味しくない。やはり、発想が失敗だったのだろうか?
ハチミツや香辛料などをうまく加えたら、メロンのほのかな香りは生きてくるような気はするのだが。。。
今頃になって、他に調理法、利用法がないか、ネットで調べてみている。
すると、メロンの皮は、紫外線でできたシミに効果がある、というではないか!
それは、まさに私にうってつけ!メラニン色素の多い私の肌には、アンタルヤ移住以来、次々にシミが出来て、困っていたのだから。
そうと知っていれば、トゥルシュになんか挑戦しなかったのに。。。
メロンの皮は他にも、料理を煮る時に一緒に入れると、早く煮えるのだそうだ。
私は試してみる気はないが、どなたか試してご覧になった方、ご報告よろしくお願いいたします。
そうそう。シミの方は早速実験してみるつもり。
こちらは、そのうち経過報告をアップできるかも?
乞うご期待!
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