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April 21, 2006
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カテゴリ:音楽

『平成名物TV・いかすバンド天国』
通称〔いか天〕という番組をご存知だろうか・・・

〔いか天〕とは、1989年から1990年に渡り、
三宅裕司と相原勇の司会で放映されていた、バンドを発掘する深夜番組である。

毎週10組のアマチュアバンドが登場し、審査員を前に完奏を目指す。
(気に入られなければ、演奏の画面が途中で止められる)

完奏したバンドの中から、その週のチャンピオンが決められ、
5週勝ち抜くと、「いか天キング」に輝き、メジャーデビューへの道が開かれる。

この番組が爆発的な人気を博し、凄い勢いでバンドブームが広がった。

その「いか天キング」に輝いたバンドの1つが、<たま>

実は、この〔いか天〕、自薦のバンドだけでなく、番組推薦で出場のバンドも多く、
<たま>のその一例。

だから、彼ら自身は、テレビで売れたいとか、メジャーデビューしてやろうとか、
全く思っていたわけではなかったのだ。


4人の奇妙さ、不可思議さは言い表しようがない。
1人は、ものすごい短いおかっぱ頭に、チョッキ姿、
膝丈のズボンに下駄履きという座敷わらしのようないでたち
知久寿焼 ―普段からこの格好で、高円寺、阿佐ヶ谷辺りをうろついていた)。

また1人は、坊主頭にランニングシャツ、胸に太鼓を下げ、桶や鍋を叩いたり、
笛を吹いてねり歩く(石川浩司 ―単に暑いからランニングスタイル)。

また1人は、アコーディオンを弾くほっそりとした女形風で、伸びやかな声の優男
柳原幼一郎 ―実は<たま>は、一時的に遊びで結成したバンドだったので、
早くから解散したがっていたが、知久と石川にうまいこと言われ、引き止められていた)。

また1人は、唯一見た目がまともっぽいので、返って浮いて見えるベーシスト
滝本晃司 ―全くベースが弾けないくせに<たま>がベースを募集しているのを知り、
応募し、脱サラまでした、実は変人)。


‘らんちう’を聴いたときは、ぶっ飛んだ。第1声が、

「いよぅ~~~~~~~~~~~」 ポコン で、始まるのだ。

そしてその節回し、歌い方、歌詞、全ておかしく、
間奏に入るナレーションが、また不気味。


メジャーデビューして‘さよなら人類’が大ヒットし、紅白にまで出場した彼ら。
(彼らは出たくなかったので、辞退を申し出たが、
何様のつもりだ!とばかりにすごまれ、出る羽目に)


〔いか天〕に出る前までも、吉祥寺あたりのライブハウスで、結構人気があり、
本当にライブが面白かったらしい
私は残念ながら見たことはないのだが、彼らの音楽やパフォーマンスは、
CDなどでは、そのよさを表現しきれないのは予想がつく。

ジェットコースターのような忙しい毎日に疲れきり、
1995年ニューヨークライブを果たした後、その年の暮には柳原が1抜けし
その後残りの3人で意外に長く活動を続けたが、2003年に解散した。

知久と柳原のハーモニーが絶妙で、それが聴けなくなったのは喪失感でしかなく、
いつしか私の中から、<たま>に対する関心は失せていた。

しかし、今、時折<たま>のアルバムを聴くと、ものすごく懐かしい気持ちになり、
何故か昔の子どもになって、そこら中を裸足で走り回ったり、
縁の下で膝を抱えてかくれんぼしているような気になるのである。



 ‘らんちう’は、アルバム‘さんだる’に収録

    -----

    夕暮れの空に金魚をおいかけ

    ぼくらは竹ざおみたいな脚を

  土手につきさしてさまよった

  ぱきぱき音たててさまよった

  景色がまっかっかに腫れちゃった

  そんなさびしい上空で (はい)

  金魚の記憶がないてるよ

  金魚の記憶がないてるよ

  (‘らんちう’ より)



4人は、今もそれぞれソロ活動を続けており、それぞれの音楽世界を楽しんでいる。

それぞれが、好きなときに、好きな歌をつくり、好きなように歌っているのだ

あのこどものような眼差しで・・・






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最終更新日  April 22, 2006 12:47:59 AM
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