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カテゴリ:詩
‘思索の淵にて’― 詩と哲学のデュオ ―
この本は、茨木のり子の詩28篇が掲載され、それらの詩の一つ一つに触発された思いを、 哲学者の長谷川宏が文章にして、1つずつセットに仕立て上げたものである。 「詩と散文が一定のリズムをもって流れていくよう配列を考えた。 詩と散文のつらなりのうちに、思考のぶつかり合いと響きを感じてもらえるとうれしい。」 と長谷川氏は述べている。 この詩と散文の奏でるデュオは、私にとって新鮮な出会いであり、 別の視点から茨木さんの詩を楽しむことができた。 大好きな詩は、[私が一番きれいだったとき]だが、 それに対し長谷川氏は〔戦争に抵抗する美意識〕と題して、思いを語っている。 ----- わたしが一番きれいだったとき わたしはとてもふしあわせ わたしはとてもとんちんかん わたしはめっぽうさびしかった ----- 若い生命力のみなぎる詩句だ。(中略) 若い一女性が、不幸せでも、とんちんかんでも、さびしくてもとにかく生きたい、 生きつづけたい、という強い意志を持ち続けるとき、 死と破壊への道を突きすすむ戦争の残虐さがくっきり浮かび上がる、 -----(長谷川) 茨木さんの〔スペイン〕という詩も共感できる。 スペインに惹かれる思い、 スペインが気になって仕方ない気持ちをストレートに綴っている。 ----- フラメンコを観ると 心が波立つ フラメンコ・ギターを聴くと血がざわめき カスタネットのリズムに急速に上がる血圧 ホタには居てもたってもいられなくなり いいよる躍りのファンダンゴ あわわわわ 私に狂気をもたらしてくれる たった一つのもの どこで どう つながっているのか いないのか ----- 私もなぜかスペインに憧れる。 フラメンコの踏み鳴らす響きに血が騒ぎ、 何もか忘れて、踊り狂いたくなるのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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