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カテゴリ:心の不思議
先頃、このページにおいて、私は「あなたの記憶は本物ですか」と書きました。
今回は、「あなたの(恋愛)感情は本物ですか」と問いましょう。 そもそも、感情はどのようにして起こるのでしょうか。 本能に根ざしたもの、というのは誰も否定しないところでしょうが、感情が起こる仕組みについては、古来いろいろな仮説が立てられてきました。 その中でも、興味深いのは、ジェームズ(アメリカの哲学者で、心理学者)と、ランゲ(デンマークの生理学者)という二人の人物が、ほぼ同時に発表した「ジェームズ・ランゲ説」と呼ばれる仮説です。 一般常識としては、悲しい出来事があった時には、先に「悲しい」と思い、その結果として涙が出る、と考えられます。 哲学者ジェームズはこれに対して、生理的な反応は感情の結果ではなく、原因だと主張しました。 つまり、ジェームズによれば、「泣くから、悲しい」という訳です。 この理論は一見、あべこべなようですが、確かに、美しい女性などが、私にぶつかりそうになった時など、ドキッとして、後から“私に対する恋愛の感情が起こる事実”などを考えると、「なるほど!」と納得させられる部分もあります。 その後、批判や修正をされることになった「ジェームズ・ランゲ説」ですが、現在でも、その考え方が完全に否定されている訳ではありません。 例えば、心理療法の分野では活用されているとも言えます。 とくにリラクゼーション法の多くは、まず体にリラックスしている状態を作り出すことを目的とします。 それによって、リラックスしている「感じ」が実際に生まれる訳です。 もちろん、この説だけですべての感情が説明できる訳ではありませんが、感情の起源についての理論は、ジェームズの大胆な発想から始まったと言われています。 「ジェームズ・ランゲ説」は、感情についての新しい見方を提案しましたが、この考え方を、もう一歩進めたのがシャクターです。 彼は生理的な変化が起こるだけでなく、それが認識されることで初めて感情が生じると考えました。 認知過程を重視するこの考えは「感情の認知説」と呼ばれています。 (解説は退屈かつ面倒で面白くない上に、何より私には難しいので割愛します) 彼らの実験ではありませんが、この説で説明できる興味深い実験があります。 「恋愛の“感情を作る”実験」です。 (ここまでの、退屈な文章に我慢できた人だけに、この秘法を伝授しましょう) ダットンとアロンズの行なった実験は、深い谷に架かる不安定な吊橋と、浅い川に架かる広い石橋を舞台に行なわれました。 被験者はそれぞれの橋を、偶然通った男たちです。 男たちが橋を渡っていると、実験者によって用意された女性が、突然、心理テストへの回答を依頼します。 また、テストが終わると、女性は連絡先として、電話番号を被験者(男たち)に教えます。 その結果、石橋の被験者に比べて、吊橋の被験者の方が、心理テストでは、恋愛的な興奮を示す回答をしました。 さらに、吊橋の被験者は、後日「実験について、詳しく知りたい」などの理由(口実?)で、その女性に電話を掛けるという行動が、多くみられました。 これは、吊橋の上にいる恐怖によって引き起こされた「生理的な興奮」が、「女性に対する興奮」と混同されたためと解釈されました。 「ドキドキ」を「トキメキ」と混同したのです。 感情の認知説は、恋愛のシチュエーション作りにも役立ちそうです。 劇的な出会いを経験した男女が恋に落ちるのはこのためでしょう。 初めて異性と二人で会う場合には、刺激的な場所が有効です。 そうは言っても、暴力団の事務所などでデートするのは行き過ぎです。 現実には、夜の高層ホテルでの食事などがドキドキする場所ですが、食事代を支払う側が(経済的に)より強い恐怖を感じる点で、男性の方が不利なのは、前述(「りすとらんてにて」を参照)した通りです。 ところで、この文章を読んだ私の周りの女性の中には、思い当たるフシがある方がいるかも知れませんが、その出会いのハプニングや状況は、あくまで偶然であることを、お断りしておきます。 あなたが抱いた私への恋愛感情は、本物だと信じて下さい。 (少なくとも、私の抱いた下心は本物です) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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