有為メモ。

精神系の病気を患っている人の中には密かに雨が降ると心身ともに調子が悪くなる人が多いらしい。ご多分に漏れず私もその中のひとりで低気圧が近づくだけでも猛烈に気分が塞いで頭の大半を暗澹たる思考が占め、体調も気力も最悪の状態となる。
光が脳内物質の生成に関係しているのだという説もあるが、本当のところは何が原因なのか判らない。

今日も雨天で、鉄工所の手伝いは元から「調子が悪い時は無理をする必要はない」とは再三言い聞かされていたので、ここは自分に厳しく働きに行こうか好意に甘えて行くまいか漠然と決めかねつつ顔を洗っていた。
その時。

季節外れのうぐいすが、一声、鳴いた。


たったそれだけの事なのに、思わぬところで愛らしい存在からの小粋なリップサービスを受けたような気がしてさっきまでの逡巡が吹き飛んだ。