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カテゴリ:釣り雑談
最近、忙しかった仕事も落ち着き・・・木工での日々の業務を終えてから、夜長に一冊の本を読んでいます。
「アユ学」と名づけられたこの本・・・位置づけは学術書なので少々難解ですが、遺伝子学上の観点から事細かに記されている内容でした。 釣ってみた感触から思っていた・・・日本海沿岸と太平洋沿岸のアユはやはり別なグループであることや、沖縄や韓国・・・そして中国のアユ達を調べた遺伝子をもとに説明しているのですが、スケールの大きい謎解きのようです。 琵琶湖産アユ(陸封されたアユ)と海産アユの比較及びその特徴の捉え方が、筆者も友釣好きが好きなんだと良く分かる内容でした。(解禁時に湖産が良く追う理由はかなり参考になりました) 一時期知人と話題にしていた「湖産×海産」が海から遡上できない理由についても、調べた実験データをもとに詳しく記載してあります。 そして・・・本書の中で、某ダム湖産アユの由来を調べた結果、海産と湖産の中間の位置付けに居ることがデータでわかったとのこと。 解禁時でも追いが良いというダム湖産アユが湖産の遺伝子をもっていたとすれば・・・データ通りの結果なのかと自分は思います。 「ダム湖産アユ」の位置付けが遺伝子的に湖産と海産の中間にあるという事実が、今後の様々な交配によって「遺伝的に危ういのでは?」と記載している点は薄々は気づいていたものの、驚きの内容でした。 ※場所によっては海産由来のダム湖産アユも存在しているとのこと。非常に興味深い内容です。 本書では放流するアユについて「放流魚を追跡調査する」「人工種苗の健苗性」と放流魚についても遺伝子という観点から捉えており、様々なパターンで放流と天然、湖産などの比較がされていました。 なかでも、これは仕方ないのですが・・・本書「継代数と遺伝的多様性レベルの関係」において、近親交配による遺伝子多様性の損失を測定データをもとに説明しておりますが、十分な親魚を使用しても継代を重ねることに近親化してしまうのは事実のようです。 この場合、海産と比べて遺伝子多様性が乏しいので、一斉に病気等に罹りやすいのだろうか?と想像してしまいました。 養殖魚の魚は海産に魚に比べて遺伝子の側面だけでなく、筋肉中の脂肪が多く、やや貧血気味(肝臓脂肪有)、内蔵の発赤状態等があり・・・それが放流後3ヶ月以上も続く個体が多かったという内容でした。 現状の病原菌対策のみでなく、上記の改善策を養殖魚育成に盛り込まないと・・・と、考えさせられました。 理想は天然資源の活用なのでしょうが、河川環境の悪化に起因している事もあり・・・難しいところです。 本書では冷水病等の病原菌については記述されておりませんが、放流魚及び放流システムを十分に考えないと遺伝子多様性の損失・・・種としての絶滅の危機であり(現に亜種である琉球アユが近い状態)・・・警笛を鳴らしていると感じました。 アユについて遺伝子という側面から切り込んだ「アユ学」大変内容の濃いものでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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