第5弾の証明
この問題は等式の証明に必要な考え方を知らないと解けない.当然であるが,何を証明すればよいのかが分からないと証明なんてできるわけがない.この場合は,「x, y, z のうち少なくとも1つが1に等しいこと」を証明すればよいのだが,それは問題文を見れば分かることであって,僕が言いたいこととは違う.条件として式が与えられていて,示すものが式で書かれているならまだ楽である.しかし,今回は条件として式が与えられていて,示すものが言葉で書かれている.この場合は条件式を言葉で表して,「言葉→言葉」の論証で攻めるか,示すものを式で表して,「式→式」で攻めるかどちらかである.論証より「式→式」の方が楽だと思う.つまり「x, y, z のうち少なくとも1つが1に等しい」ことを数式で表すことを考えなければならない.「3つのうち少なくとも1つは1」ということは,最低でも1つは1ということ.つまり,1つが1でもいいし,2つが1でもいいし,3つとも1でもいいということ.x, y, z のうち少なくとも1つが1に等しい ⇔ x = 1 または y = 1 または z = 1となる.しかし,これではまだダメだ.「または」っていう言葉が入ってるからね.このままでは難しいので次の問題を考えてみよう.この逆はよく使っていると思う.2次方程式を解く際に絶対使っている事項だ.a, b のうち少なくとも一つは 0 ということは,a = 0 または b = 0 ということ.つまり,積が 0 ということ.次にこれを発展させていく.a, b の少なくとも一方が 1 に等しい⇔ a = 1 または b = 1⇔ a - 1 = 0 または b - 1 = 0ここまで来れば分かりますね.a, b の少なくとも一方が1に等しい ⇔ (a-1)(b-1)=0元の問題に戻ります.x, y, z のうち少なくとも1つが1に等しい⇔ x=1 または y=1 または z=1⇔ (x-1)(y-1)(z-1)=0ということですね.これで示すべき等式が得られました.あとは書く量を減らすために,「文字の置き換え」という工夫をします.具体的には,x-1, y-1 z-1 をそれぞれ他の文字,例えば a, b, c とおきます.x+y+z=3 は a+b+c=0 と書き換えることができます.この結果,次のように問題を単純化できます.こうなればかなり簡単ですね.前にも書いた公式 を利用することは見え見え.ってことで証明は次のようになります.