『お父さんは心配性』
ある人のサイトで岡田あーみんシリーズをアマゾンアフィリエイトで紹介しているのを見た。かなりセンスのある人だと思った。子供の頃少女漫画雑誌の「りぼん」を毎月読んでいた(ライバル誌にあたる「なかよし」は絵がガキ過ぎて読んでられないとガキのくせに当時思っていた)。その少女漫画界に君臨する「りぼん」において、岡田あーみんの作品『お父さんは心配性』は圧倒的異色漫画で、父パピィが娘を心配するあまり加速度的にエスカレートしていく様(まさに異常)を作品全体にぶちまけている。漫画の存在ははっきりと覚えているが、はて、ストーリーは全く思い出せない。ただ、唯一覚えているシーンがある。街角の交差点で、長く大きな車に乗った人が「あーん、車が大きすぎて曲がれないよぅ」と言いながら、通行人をなぎ倒しているシーン。ただそれだけ。そうそう、そのシーンを見たとき、「そんな曲がれないような大きな車あるわけないよ」と苦笑したのを覚えている。なぜこの漫画が『ときめきトゥナイト』と一緒の雑誌に収まっているのか、本当に不思議でならなかった。とてつもなく雑な画風で、常に顔に縦線が入っている人がバンバン出てきたり、血を吐いたりしていてわけが分からない。あの漫画を載せる決断をした「りぼん」編集部はすごい。岡田あーみんの漫画は、この『お父さんは心配性』が終わったあとも掲載され、確か2つくらい連載をしていたはず。何が受けるかはわからないものだ。あれから10余年。大人になってこの車を見たとき、ひざを叩いた。 これかー!私の中では、リムジン=『お父さんは心配性』という図が確立していることを認識した瞬間だった。