東京・フォーク酒場巡りに興じた日は、12時頃チェックインを済ませたあと、
夜までの一人の時間を使って、もう一つの目的である、
『 神楽坂 散策 』 へと出かけた。
少し前から新しい東京の観光スポットとして、またテレビドラマでも話題になった神楽坂。
古き良き東京の花町としての香りをのこしつつ、
それが現代感覚とうまく融合し、最近とみにメディアに取り上げられている。
オレも以前から一度は行きたいと思っていて、やっと実現した。
JR飯田橋駅を降りて北へ向かい少し歩くと、
そこはもう桜の花咲き誇る “ 神楽坂下交差点 ” だった。
そこからさらに北へ向かい、
表通りから裏通りへと、迷路をさまようがごとく歩いた。
平日の真昼間だというのに、
一見してそれとわかる神楽坂目当ての老若男女(オレもそのひとり)。
まちがいなく日曜日の呉服町よりも賑わっていた。
それにしても、どこからどう見ても普通の民家と思える家屋が、
実はちゃんとしたカフェやらレストランやら雑貨店やら小料理屋として繁盛していた。
そんなお店がそれほど広くない一角に点在しているのだ。
その中でもオレの心に特に印象深く残ったのが
まんじゅうカフェ 『 mugimaru2 (むぎまる2)』 。
今にも朽ち果てんばかりの入り口のドアを開け、
背を縮めて店内に入り、案内されるまま狭く急な曲がり階段をやっとこさで登り、
たどり着いた2階は、たわいもない話でくつろぐ若い男女で満席だった。
おっさん一人ぐらいはなんとか座れるスペースには、
おままごと遊びに使われるようなちゃぶ台がポツリ。
6畳ふた間に置かれた若者たちが囲むそれぞれの4卓も、
大きさも形もまったくふぞろいで飾り気のないもの。
ぶち抜きの天井。薄暗い裸電球。剥がれかけている粗塗りの白壁。
開け放しのガラス窓の向こうには、抜けるような春の青空が見えた。
紅茶と名物の麦まんじゅうをひとつ注文し、
しばらくボーーーーと、時間の経つのも忘れた。
東京のど真ん中とは思えぬ、
なんともぜいたくなひとときだった。
※ 写真左が mugimaru2 。