漢方薬として使われてきたごぼうの種の成分が、
すい臓がんの治療に役立つ可能性があることが
富山大学などのマウスを使った実験で分かり、
治療薬の開発を目指して臨床試験が始まりました。
この研究は、富山大学の和漢医薬学総合研究所と、国立がん研究センター、
それに富山県高岡市の製薬会社が、共同で取り組んでいるものです。
研究グループは、自覚症状がほとんどなく、
手遅れになることが多いすい臓がんの治療に漢方薬を利用できないか調べるため、
500種類以上の漢方薬の成分を試験管の中のすい臓がんの細胞に直接投与したところ、
解熱剤として使われてきたごぼうの種に含まれる
アルクチゲニンという成分にがん細胞を小さくする効果があることが分かりました。
また、すい臓がんを発症させたマウスにアルクチゲニンを口から与えたところ、
およそ1か月後には、投与しなかったマウスに比べて
がん細胞の成長が3分の1ほどに抑えられたほか、
アルクチゲニンを与えたマウスでは与えないマウスの
倍の100日程度生きていたケースもあったということです。
実験結果を受けて研究グループは、先月下旬から、
すい臓がんの患者に顆粒状にしたアルクチゲニンを服用してもらう臨床試験を始めており、
安全性や有効性を確認できればすい臓がんの治療薬として開発を進めることにしています。
富山大学和漢医薬学総合研究所の門田重利教授は
「ヒトに対しても治療効果があることを証明し、
すい臓がん患者を助けられるよう新しい薬を作りたい」
と話しています。