ドラクエ3にもしラオウがいたら~ 第1話 「ラオウ、仲間に」
「アレス…アレス…」 誰かが僕を呼ぶ声がする… 「起きなさい。アレス。今日はお城に行く日でしょう?」 ――城?そうだ! 僕はゆっくりと目を開くと、暖かい日差しとともに母の顔があった。「ええっ!こんな時間!」 僕は急いで仕度を済ませ、足早に城へと向かった。 魔王バラモスが挙兵して、20年。世界は魔物たちに征服されつつあった。 ハタチを向かえた今、僕は勇者の息子として魔王を倒す旅にでるのだ。「よくぞきた!勇者オルテガの息子、アレスよ!!」 城につくと王様が深いしわをさらに深く刻んで、出迎えてくれた。「アレスよ。どうしても魔王を倒しに行くのか?」 「しかし王様。これは決めた事ですから…」「そうか…ならば止めはせぬ。だが、ひとりでは危険過ぎる。街のルイーダの酒場というところで仲間を探しパーティを組んでゆくのだ!」「わかりました!」 頷き、きびすを返そうとした僕の後ろから、 「ちなみに4人までだぞ!」という親切な王様の声が聞こえた。 ルイーダという名の酒場はすぐに見つかった。 僕の家の目の前にあったからだ。街の出口の近くにあるなんて、なんて健康的なという感想を抱いて、いざ中へ。 中には何人もの百戦錬磨を思わせる男や女が酒を呑んでいた。みんなじろりとこちらを睨んでいる 「あ、すいません。僕、勇者なんですけど。誰か魔王を倒しに行きません?」 気楽そうにいうと、ひとりの一際、巨大な身体をした男が立ちあがった。鍛え上げられた肉体。鋼鉄の甲冑。まさに戦士という井出達だ。「小僧。お前がオルテガの息子ってやつか?」「え、そうです。戦士さん」 と答えると、その男は急に声を荒げて、「なんだとっ!俺は魔法使いだ!」 「へ…?」 あまりといえばあまりの言葉に僕は驚いて声もでなかった。 この魔法使いから一番掛け離れた男が、魔法使いだって!? そんな僕の心情を無視して、「いいだろう。俺の名はラオウ。いずれ天を握る男だ」 と肩を掴まれた。「よろしくお願いします…ラオウさん。じゃあ、戦士とか僧侶を…」「いらぬっ!」 ラオウは一喝すると僕を酒場から連れ出した。