引き出しの奥に、お菓子の容器やったと思しき綺麗な缶。
小物の整理するのに便利なんで、とっといたヤツやな。
何入っとるんやったっけかなぁ…
開けてみたら、昔の手帳と、高校、大学の学生証。
うわぁ～、懐かしいなぁ！
ひいちゃん、自称：永遠の２８歳。
何年前のモノか、引き算は簡単にできるハズやけど…
数学の世界は、とかく奥が深い。
昔っから、手帳はスケジュール管理のほかに
日記代わりに使こてます。
１０代の女の子の、甘酸っぱい日々の記録…
読み返したら、懐かしくも恥ずかしい。
自分では、一人前のつもりやったけど…
「恥の多い生涯を送って来ました」で始まるのは
『人間失格』やったっけか。
およそ生きるっちゅうことは、恥の連続のような気がするな。
日々、失敗を重ねて、成長していくもんなんやろ。
振り返ったら、赤面するようなことばっかり。
けど、その瞬間はいたって大真面目。
あの頃は、よぅこんな恥ずかしいことしとったなぁ…
そう思えるのは、多少なりとも
自分が成長できた証拠かな。
それから、学生証なぁ、
ピチピチの女学生(死語？)やった頃の顔写真付！
自分ではちっとも変わっとらんつもりやったけど…
突きつけられた現実は厳しいなぁ。
ぼちぼち、年齢も上方修正せんとイカンか。
この場合、下方修正と言うべきか!?
お肌のハリ、瞳の輝き…
しみじみ、この頃の自分に戻りたい…
いや、受験勉強に就職活動、
もういっぺん、と言われたら厳しいなぁ。
職場で、上司２号と後輩くんが、
整形手術の話題に花を咲かせておりました。
最近は、ほんの１５分でぱっちり二重になれるらしい。
ひいちゃんさんは、もう興味ないでしょう！
コラコラ、ちょっと待たんかい。
なんでアタシが、突然火の粉をかぶらんとイカンのや。
それより、なんやねん「もう」って。
人生あきらめたみたいに言わんといてくれるか。
いや、そうやなくて…
今でも二重やし…
ソレ、整形ですかッ！？
・・・なんでそうなる。
ひいちゃんは、絶対整形と違うよなぁ。
上司２号が援護射撃。
お母さんも、娘さんも、おんなじ顔やもんなッ！
くりくりっとした目ぇで！
そしたら後輩くん
そうか、そういや、ダーリンさんもくりくりっとした目ぇですね！
気持ち悪いこと言うな、
ダーリンとは一滴も血ぃつながっとらんわ。
そこへ、昼メシから戻ってきた上司３号が参戦。
上司３号さんは、 整形とか興味あります？
あ、毛ぇ増やす方が興味ありますよね！
後輩くん、怖いもの知らず、礼儀知らず。
そこでひいちゃん、援護射撃。
大丈夫、言うとる間ぁに毛根再生技術とか開発されるって！
言い終わる前に後輩くん、
スタップ細胞なかったしなぁ！
オレかて若いころはフサフサやったんや、と肩を落とす上司３号。
あの日に帰れる技術は、今のところないようや。
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