テーマ:読書の愉しみ(1002)
カテゴリ:思想
「100分de名著」という番組がある たしか以前に第一回目の放送の事を日記に書いた様に思う ご覧の方も多いだろうと思うが、堀尾正明がキャスターをつとめ、毎回 ゲストプレゼンターが解かり易く世の名著と言われる本について語る番 組だ。 プレ番組で「資本論」、第一回が「ツァラトゥストラ」、 第二回が「論語」、第三回が「マネジメント」、 第四回が「学問のすすめ」、そして現在は「ツァラトゥストラ」を再度 放送している。 「学問のすすめ」の後に「ツァラトゥストラ」をアンコール放送してい る事に意図があるのなら面白い。そうであれば時代の要請を察知しての 編成なのだろうと思う。 福沢諭吉、ニーチェ、現在の日本(日本人)の抱える問題を考える時、 彼等の作品、思想は参照されるべきものだろう。
と、偉そうに書いていますが、実は私、今日まで「学問のすすめ」を読 んだ事がありませんでした^^;。もちろん作者も題名も、冒頭の有名な 下りも知ってはおりましたが「なんだか面倒臭そうな本」というイメー ジがあり手にした事さえ無かったのです。 多分に若い時分に持っていた思想的な「西高東低」の意識も邪魔をし尾 を引いていたかもしれず恥じ入るばかりです。 プレゼンターの斉藤孝氏の話を聞き、実際に目にするまで、この偉大な 本の内容の一欠けらも知りませんでした。
この明治時代の大ベストセラーはたった今、現代に持ってきても色褪せ ません。よくある「日本人論的」な当事者性を欠いた評論めいたもので は無く、当時の日本国と民族の行く末に大きな危機感を抱いた実践的啓 蒙書なのだと感じます。 しかしマァ、明治から平成まで人間というのはこうも変われないモノな のか・・・ 少々言いすぎ突っ込み過ぎでシックリ来ない部分は、福沢諭吉自身の学 問の歴史と仕事を知り、当時の時代背景を思えば確信犯的な煽動と捉え られます。 この本は、人民の幸せと国家の安寧を実現する為には、人民一人一人が 確かな見識に裏打ちされた気概(自尊独立)を持たなければならず、 その為に学べ(働け)と説いています。
以前、ニーチェは気概の哲学者だと書いた覚えがあります。 「ツァラトゥストラ」の放送で西研氏は肯定の哲学者と表現していまし たが同義だと思います。 貧しかった時代、急成長の時代には未来の為に「困難」は無条件に克服 されるべきモノでした。それが爛熟期、衰退期には「困難」そのものを 思い悩み「未来を侵食する」という非合理が蔓延します。 如何に無気力・ニヒリズム・非合理を排して自尊独立を成しうるか!! その為の福沢諭吉であり、ニーチェであるのでしょう。
幻冬舎の見城氏とサイバーエージェントの藤田氏の共著である「憂鬱で なければ仕事じゃない」という本が話題になっているという。 憂鬱上等!! 困難など当然!!
このポジティブな永遠回帰への覚悟こそがおそらく時代の要請なんです ねぇ・・・
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