テーマ:政治について(20207)
カテゴリ:経済
本日、日銀が追加金融緩和を発表した。
1%という数字がインフレターゲットという事なんだろう。 10兆円程の国債を追加で引き受けるらしい。 米国でのFOMC声明に呼応したものなのだろうが、デフレ脱却を望む 成長至上主義者の人々が考えるものとは根本が違っている事には留 意すべきだ。 米国の消費者物価指数は現状で2%前後の推移なので、FRBのイ ンフレターゲット2%の目指す処は物価抑制の側面が強いのは解る。 つまりは、経済成長は必要だが「インフレは歓迎しない」という微 妙な宣言だ。 一方我が国は0%前後で推移しており、1%という数字には危うい ものも感じるが、中長期での目標値として2009年末に日銀が物価安 定の方向を示唆して既に提示していた数字だ。 それをインフレ誘導と短絡的に捉えるのは誤りだ。 元来、デフレ対策の為にインフレターゲットを設定する事は危険だ と言われている。 多くのデフレ脱却・成長至上主義の人々は「デフレ」「円高」を問 題視する発言を繰り返すが、現在の日本で固定化されてしまった 「賃金デフレ+長期不況」下での国民生活は、皮肉にも「円高」 「低金利」「低物価」が支えている。 高騰し続けて来た輸入資源のコストを、「労賃カット」で吸収して 製品に価格転嫁出来ないという仕組みを硬直化し、継続性を持たせ てしまった日本の国内産業構造は歴史的に見ても特異な状況にあり 、インフレ誘導による成長戦略という古典的手法が功を奏するとは 到底思えない。 インフレだけ先行して手当が間に合わなければ、待っているのはハ イパーインフレだ。 投機マネーが支配する中でのインフレ率のコントロールなど不可能 だし、大体その為に日銀が国債を大量に買い続ける事など最早不可 能なのだ。 その前に大半の国民生活が破綻するだろう。 現状の為替、物価、産業空洞化を容認して逆手に取る工夫で、国内 の労働賃金を上げていくという至極困難な道しか、おそらく我が国 には残されていないのだなと感じる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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