セイヤのblog

前回の記事の繰り返しになりますがお付き合い下さい^^;
私の思いが杞憂であり、2020年に無事に事が成って「ほら見ろ、お前は只のゴタクを並べていただけなんだよ！」と私自身が非難される状況になる事を自ら祈るばかりなのです。


世間は2020年の東京オリンピックが決まってアゲアゲのムード一色です。
招致プレゼンに功労があった関係者も連日TV等で取り上げられ賞賛を浴びていますね。
太田雄貴氏の様なポジティブで明朗な若者には好感を持ちますし、滝川クリステル氏やパラリンピックを代表した佐藤真海氏のスピーチも賞賛に値する素敵なものだったと思います。
ただ、もし此の代表の最終プレゼンのスピーチが招致に大きな影響を持つのなら、やはりIOCに対する決定打となったのは日本国総理大臣である安倍晋三氏の「汚染水はコントロールされている」という発言と、日本の皇室から初めて憲仁親王妃久子さまが招致活動（建前は招致活動では無く震災援助への謝意ですが）の場で挨拶をした事だと思われます。
「日本の皇室から初めて・・・」というインパクトと、一国を代表する総理大臣の安全宣言は日本人が考える以上に各国のIOC委員の「信頼」を得たものであったと思われます。


が、結論から言ってしまうと、私は福島第一原発の現状下において「ああ言うしか無かった安倍首相」に登場頂いてはいけなかったと思うし、ましてや皇室から憲仁親王妃久子さまを招いた事は余りにも安易で無責任であったと考えています。
原発事故以前からの「乗りかかった船」の勢いと、日本経済と震災復興への起爆剤としてのオリンピックの価値を行政と世論が共有した故の招致活動の盛り上がりでしたが、事は一国の経済事情など考慮される様なもので無く、不始末があれば逆に皇室や政府を巻き込んだ国家としての矜持や国際的信頼が崩壊しかねない。
「カミカゼ的」な空気だけでの国家的暴走の様に私の眼には映ります。
普通に市井に生きる私がネットや報道で知り得る限りでも、海外からの福島第一原発への関心は非常に高く、日本政府に対する信頼は低いものであったと感じられました。日本招致は無いだろうと考えていたので私も安易に構えていましたが、「立候補辞退」も考え得る状況下であったと私は認識しています。


福島第一原発の敷地内に群立し増え続ける汚染水タンクの映像は我々が無力である事を象徴しています。安倍首相の「コントロール発言」は、唯一現実的な汚染水対処法であった「線量を下げて海へ投棄」という手法を不可能に等しいものにしてしまいました。技術的には国際基準値程度の水準で投棄が可能の様ですが、以前より注目度を増した世界の関心の中での「コントロールされている」の解釈がどの様なものであるのか皆目解りません。遮壁で囲って地下水の流入を防ぐという意見も以前からありますが、簡単に出来るものでないから現状の有様なのでしょう。そして、たとえ其れが成されても、冷却用に注入された汚染水は増え続けるのです。


毎度しつこいですが、この文章を書いている私は経済性を考慮した「原発再稼働派」です。私は日本人が放射線に対して過剰に反応し過ぎていると感じていますし、日本の基準値は厳し過ぎると考えています。しかし、そんな私でも福島第一原発が「完全にコントロールされている」などとは思わない。同じ原因での他の原発事故のリスクが減少したと考えるのみです。未だに炉心内部の状況は不明ですし不確定要素が多過ぎます。
私は「反原発・即時ゼロ」を唱える人々に聞いてみたい。
反原発の根拠と、現状下でのオリンピック招致賞賛に整合性はあるのか？と・・・


私が本当に恐れるのは放射線より、社会に流れる曖昧な空気に重要事項が決定されてしまう事です。国際社会の中で一国の成す事が、個人のレベルでの情緒的な価値で同等に語られてしまう事なのだと思います。


間違い無く7年後の時点でも福島第一原発の事故処理は現在進行形の状況だと思われますが何事も無ければそれでいい。それは結果論ですがオリンピック招致が決まった現状ではそれで僥倖だと思われます。福島第一原発が完全にコントロールされ、オリンピックを無事に迎えて「ほら見たことか馬鹿野郎」と私が非難される事態が何より望ましい。