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2013.10.23
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テーマ:徒然日記(23462)
カテゴリ:科学
経済学は科学か?

池田信夫氏のブログで取り上げられていた面白いテーマですが考えている内にエントリーが幾つも進んでしまったのでコメントの機会を逸してしまいました。
故に自分のブログで書く事となった次第。


「現代ファイナンス理論」と「行動ファイナンス理論」。
池田氏の記事にある通り相容れない2つの理論双方に同時にノーベル賞が贈られた事で「これが経済学の悲しい現実だ」という類の報道やネット記事が多く見受けられますが、これをして経済学が科学では無いと断定する根拠とはならないと思われます。
経済学には統計的有意性を見ますが、そもそも不動の原理が存在しません。この2つの理論は揺れ動き続ける実体経済の中でターゲットを探し続け、反目しながらも無関係ではいられない有力仮説なのだと思われます。

受賞者3人の中で、「妥当な受賞者」とされるハンセン氏の日本人のお弟子さんが簡易に書いてくれた記事を拝見しましたが、合理的期待モデルの不整合さの記述などは物理学での不確定性原理の特性を聞いている様でした。受賞理由となった「不確実性の理論化モデル」は機関投資家のポートフォリオ・インシュアランスを複雑化させるだけなのだろうなという危惧を一般投資家には感じさせますが、ここで問われるのも「経済学が成せる事の価値」であり科学か如何かの問題ではありません。


池田氏の記事は一時期科学と非科学の線引き基準とされたカール・ポパーの反証主義への批判を端緒に経済学の社会科学的・人文科学的側面を擁護し、反す刀で自然科学もイデオロギー(物語)から中立では無いとしています。その根拠としてトーマス・クーンのパラダイム概念が挙げられていますが、書き連ねて行くと面倒な事になるので一気に結論へもって行くと、この科学・非科学の線引き基準を設ける事は「不可能である」というのが現代科学哲学研究者間での大凡の一致した見解の様です。
不可能というより線引き自体に「意味が無い」という方が近いかしれません。
ここでは「経済学は科学か?」という問い建て自体が無意味であるという事になります。
経済学は人間の欲望を扱う学問であり数学との親和性も高いので、何かと他の学問分野と比べて「構われ易い」学問なのでしょう


自然科学の下で起こる人間社会の森羅万象は須らく科学的であると私は考えます。それを認識出来ないのは人間の能力が未熟であるが故で、乱暴に分子・素粒子レベルで捉えれば全て物理現象です。芸術や文学でさえその例外では無く、「科学か?非科学か?」と考える事自体が科学的な反応なのだと認識します。


池田氏も記事で触れていましたが「超弦理論」(M理論)の可能性を強く感じますね。もし証明されれば人間社会に「決定論的」な流れが出来て「コペルニクス的なパラダイムシフト」が起こるのでしょう。少なくとも「科学か非科学か」などという話は無くなります。
しかし、自然界の全ての力が統合されても其れは人類を身体的にエスパーにする理論ではありません。人間の能力が、証明された理論の正当性の恩恵を全て享受出来ないのはニュートン・アインシュタイン・シュレディンガーの下でも同じです。
ラプラスの悪魔(過去から未来までの森羅万象を知る魔物)は現れない。
故に、人間は不安定な存在として試行錯誤し物語を語り続けるでしょう。
そして、それは幸せな事なのだろうなと推察します。






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最終更新日  2013.10.23 13:15:44
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